Amazon Web Services(AWS)の最高経営責任者(CEO)Andy Jassy氏は今週、Amazonは今後、採用において候補者の居住地を重視しなくなる可能性があると述べた。新型コロナウイルスのパンデミックに対応するためにビデオ会議を活用した結果、ビデオ会議の長期的な有用性に確信が持てたとJassy氏は言う。
同氏はAWSのバーチャルイベントにおいて、ビデオ会議は「自分を含め、従業員が仕事をする場所、雇用が必要な場所に対する考え方」を変えたと指摘した。「これまでは、各拠点には一定数以上の人が必要だと考えていた。しかし新型コロナウイルス対策を通じて、チームワークの精神さえあれば、メンバーが世界中のどこにいようと、もっと少ない人数で対応できることがわかった」
変化するのは採用活動だけではない。今後はパートナーや顧客と会うための移動も重視されなくなる可能性があるとJassy氏は指摘する。
「以前は顧客、特に国内外を問わず、物理的に離れた場所にいる顧客とは頻繁に会っていた。対面の会議を過剰に重視していたきらいがあった」とJassy氏は言う。ビデオ会議は「相手の表情を見て、自分の言葉に相手がどう反応しているかを確認できる」という点で電話とは違うと同氏は指摘する。
パンデミックの期間に、パートナーと「会う頻度は減ったが、会話は増えた。世界中のパートナーとより親密に交流できるようになった」
Amazonの流通センターとデータセンターはすでに世界中に分散されているが、近年はオフィス拠点が大きな議論の的となっていた。同社のシアトル本社は4万5000人以上を雇用しているとされており、この都市の成長と性質に大きな影響を与えている。
2017年に同社が第2本社「HQ2」の建設計画を明らかにすると、北米全域から数多くの都市が名乗りを上げた。最終的に「HQ2」は2カ所に建設されることになったが、これは同社が従業員の勤務地を分散させるメリットをすでに活用していることを示している。
パンデミックの期間はAmazonも、他の大企業と同様に、オフィス勤務の従業員に在宅勤務を命じた。また、先日は少なくとも10月初めまでは在宅勤務を継続することを認めた。GoogleやFacebookといったテクノロジー企業も同様の発表を行っている。
一方、一部のエコノミストはテレワークの普及により、都市部の住宅や小売店の需要が冷え込み、都市に長期にわたる影響を与える恐れがあると指摘している。このことはAmazonもある程度認識しており、Amazon本社に近接する小規模事業者を救済するための500万ドル(約5億3000万円)の基金を立ち上げている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。