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内山悟志「デジタルジャーニーの歩き方」

アフターコロナにおけるDX--企業に求められるパラダイムチェンジ

内山悟志 (ITRエグゼクティブ・アナリスト)

2020-05-13 06:00

 新型コロナウイルスの影響によって、企業のデジタル変革(DX)に対する取り組みが加速する一面と減速する一面の両方があります。デジタル化によって社会や経済に対する世界観が大きく変わる可能性もある中で、企業はどのように変化に適応していくことが求められるのでしょうか。今回は、アフターコロナとアフターデジタルの世界観を見据えて、求められる企業の対応について考察します。

外出自粛で疑似体験したアフターデジタルの世界観

 これまでの世界観では、リアル(店や対面)で接点を持つ人が、たまにデジタル(EコマースやSNS)でもつながるというのが一般的な考え方でした。しかし、モバイルやIoTの浸透によってあらゆるデータが捕捉可能となると、リアルの世界がデジタルの世界に包含されます。これは、本連載「デジタル時代の到来は何を意味するのか」でも述べました。

 『アフターデジタル』(藤井保文・尾原和啓著、日経BP社)では、このような世界をアフターデジタルと呼んでおり、デジタルで常に接点があることを前提とし、リアルな接触はその中の特別な体験の一部となると説明しています(図1)。新型コロナウイルスの影響による外出自粛で、バーチャルで会議をすることが通常となり、実際に対面するのが、その中の特別な体験の一部となったことを経験した人も少なくないでしょう。つまり多くのビジネスパーソンがアフターデジタルの世界観を疑似体験したことを意味します。

新型コロナで露呈した企業のDXへの遅れ

 史上初の緊急事態宣言に伴って、政府はテレワークや出社制限を推奨しましたが、厚生労働省とLINEが共同で2020年3月31日~4月1日に実施した第1回目の調査では、仕事でテレワークをしている人は約14%とごくわずかにとどまったとのことです。以前から在宅勤務などを推進していた企業は迅速に対応できましたが、慌ててウェブ会議だけは導入した、あるいは結局ほとんど対応できなかったという企業が多く見られました。

 確かに、店頭での接客、建設現場、工場の組み立て作業などテレワークの困難な業務が存在するため、全面的に対応することは困難かもしれません。しかし、紙の請求書を作成して郵送しなければならない、契約書にハンコを押さなければならない、営業日報を社内独自のシステムに入力しなければならない、電話と対面しかコミュニケーションの手段がないなど、通常のオフィスワークさえもデジタル化されていないことで全面的な在宅勤務に踏み切れなかった企業も少なくないのです。

 一方、これらの問題のほとんどは、既に成熟した利用可能な技術といえる情報のデジタル化、インターネットやクラウドの活用などで解決できるものです。これには、システム化の問題だけでなく、報告や承認のプロセス、就業規則、人事評価制度などが整っていないことが阻害要因となった面もあり、DXの環境整備のために企業内変革も必要となることが改めて問われたといえます(本連載「そもそもデジタルトランスフォーメーション(DX)とは何か」参照)。すなわち、多くの企業がアフターデジタルの世界に対応できていなかったことが証明されたといえるでしょう。

デジタル化への対応が企業の存続を左右する

 さてこの間、多くの社員が在宅勤務で通常とほぼ同様の仕事ができた企業もあれば、仕事の環境が整わないためにやむなく自宅待機や特別有給で対応した企業もあります。両者で生産性や顧客対応力に大きな差が生じたことは容易に想像できます。場合によっては売り上げや利益にも影響を及ぼしたかもしれません。業種やビジネスモデルによっても在宅勤務が可能な業務領域に違いがあるため一概に比べられませんが、もし同業種においてこのような違いがあったとしたら、競争優位性の差は明らかといえます。

 ビジネスモデルの違いも重要な要素といえます。例えば、書籍や雑誌の出版を従来の紙媒体のみで行っていた場合と、電子書籍やウェブ媒体での提供を行っていた場合とでは、売り上げへの影響に大きな差が出ることは明白です。また、年間契約制のサブスクリプションモデルに対応していたら売り上げが全く落ち込まないというケースも考えられます。店舗を閉店しなければならなった際に、顧客対応を店舗からネットにすぐに切り替えられる企業とそうでない企業とでは、明らかにビジネス対応力は異なります。デジタル化への対応は、企業の存続を左右するといっても過言ではないのです。

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