デジタル戦略となると、口では色々といっても、実行できていないという最高経営責任者(CEO)は多い--PwCは調査からこのような結論を出している。
この調査PwC 2018 Digital IQ Surveyは、PwCが世界2280人のビジネスまたは技術担当の幹部を対象に2018年1月から3月に実施したもの。それによると、回答者の約4分の3が、自社のCEOはデジタルを支援していると述べた。だが、自社は実際にデジタル戦略を企業戦略にきちんと統合しているという企業は、44%にとどまった。
さらには、自社のトップはデジタルに敏感で、新しい方法で従業員が考えることを支援しているという回答は、わずか43%だった。
PwCはこの報告書で、「デジタル」という言葉の定義が引き続き進化していると指摘している。幹部の多くが、より広く、より全体的な定義をしている、という。回答者の4分の1は、もっとも保守的な定義となる「デジタルはITと同義」と回答した。2016年の調査でこれを選んだのは29%だった。
一方、「デジタルとは、技術をビジネスに統合するための投資全てを指す」と回答した人は29%いた。これは2016年の14%から増加している。「デジタルは技術を越えて、イノベーションとフラットな意思決定を映し出すマインドセットを反映する」を選んだ人は21%だった。こう回答した人は、2016年はたった6%だった。
報告書では、戦略的なデジタルトランスフォーメーションは、外部と内部の圧力によって進められているとも指摘している。40%近くが、戦略的な動きが必要になった最大の理由は「競合からのプレッシャー」と回答した。この設問で「技術の成熟」と回答した人は38%、「市場のインテリジェンスがデジタルに対する自社の考えに影響した」という人は23%だった。
デジタルトランスフォーメーションでの課題として最も多く挙がったのが、「適切な技術スキルの獲得」だった。自社の社員をスキルアップできない理由として幹部があげたものとしては、「時間不足」「トレーニングのための構造がない」「組織に知識がない」がトップ3だった。
調査では、トップの財務実績を誇る企業(過去3年間で売上高の成長と利益の一定の割合以上での向上がみられ、今後3年間も売上高の成長が期待される企業と定義)は、残りの企業に比べて、デジタルへの重要度の高い取り組みや、アクション、マインドセットが卓越していることも分かった。
これらの企業は、はるかに高い割合でデジタルソリューションに投資している。例えば、これら企業の3分の2は、売上高の10.1%以上をデジタルに費やしているのに対し、残りの企業の間で同じように投資しているのは26%だった。投資は功を奏しており、71%が従業員の維持と採用の改善に貢献していると回答している。一方、財務的により実績の低いグループで同じように回答したのは26%だった。
またトップの財務実績を誇るグループの86%がこうした投資によりブランド力が向上したと回答し(残りのグループでは31%)、68%がデータを使ってより良い意思決定をできていると回答している(残りのグループでは41%)。さらにこのグループの約3分の2はより良い顧客体験を作り出していると答えている(残りのグループでは28%)。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。