シェアリングエコノミーの衝撃

シェアリングエコノミーの衝撃(2):最大のインパクトは「個人パワーの増大」

松岡功

2018-06-29 07:30

 「シェアリングエコノミーの衝撃」連載、第1回に続く第2回は、PwCコンサルティングのキーパーソンに、シェアリングエコノミーの特徴的なポイントや経済社会へのインパクトなどについて聞いた。

シェアリングビジネスにおける3つのポイント

 今回、話を聞いたのは、PwCコンサルティングでイノベーションや新規事業の開発を担う野口功一パートナー。『シェアリングエコノミーまるわかり』(日経文庫)と題した著書もある野口氏は、筆者も本連載を始めるきっかけになった知見を教授いただいた、この分野のキーパーソンである。

PwCコンサルティングの野口功一パートナー
PwCコンサルティングの野口功一パートナー

 野口氏から初めてシェアリングエコノミーについて話を聞いた際の内容については、2018年1月4日掲載の筆者コラム「シェアリングエコノミーでどんな社会を目指すのか」を参照いただきたい。

 そんな野口氏に、改めてシェアリングエコノミーにおけるビジネスの特徴的なポイントを聞いたところ、「遊休資産を活用していること」「Peer to Peer(P to P)型であること」「プラットフォーム企業があること」の3つを挙げた。

 同氏はこれら3つのポイントを、代表的なシェアリングビジネスであるライドシェア(車の相乗り)に当てはめて次のように説明した。

 まず、遊休資産については、個人が自ら乗るために所有した車を活用し、自分が車を使っていない時にサービスとして提供するので「遊休資産の活用」となる。

 次に、P to P型については、個人が所有する車の空いている時間を個人の利用者に提供する形なので個人間取引になる。提供者にとって企業という枠組みが必要なわけではなく、車を持って運転できれば誰でも提供者になれる。利用者も必要な時にプラットフォーム企業を通じて車を呼んで必要な時だけ車を使う。このように、サービスの提供者も利用者も不特定多数の間で行われるので、まさしく「P to P型」である。

 そして、プラットフォーム企業は、サービスの提供者と利用者のマッチング(仲介)を行う役割を担う。アプリを配布し、提供者と利用者に登録してもらい、目的地や乗車地をGPS(全地球測位システム)などにより把握し、提供者と利用者の最適なマッチングを行うのである。提供者と利用者を把握し、時間や場所の情報によって最適な需給調整を、テクノロジの力を借りて行っている格好だ。利用後は決済機能もある。プラットフォームの利用に応じた手数料が主な収入源となる。さらに、プラットフォーム企業は取引における信用担保の役割も担っている。

 野口氏によると、この3つのポイントによって、シェアリングエコノミーにおけるビジネスは、これまでの経済構造とは違ったビジネスモデルを提供しているという。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]