「シェアリングエコノミーの衝撃」連載、第1回に続く第2回は、PwCコンサルティングのキーパーソンに、シェアリングエコノミーの特徴的なポイントや経済社会へのインパクトなどについて聞いた。
シェアリングビジネスにおける3つのポイント
今回、話を聞いたのは、PwCコンサルティングでイノベーションや新規事業の開発を担う野口功一パートナー。『シェアリングエコノミーまるわかり』(日経文庫)と題した著書もある野口氏は、筆者も本連載を始めるきっかけになった知見を教授いただいた、この分野のキーパーソンである。
PwCコンサルティングの野口功一パートナー
野口氏から初めてシェアリングエコノミーについて話を聞いた際の内容については、2018年1月4日掲載の筆者コラム「シェアリングエコノミーでどんな社会を目指すのか」を参照いただきたい。
そんな野口氏に、改めてシェアリングエコノミーにおけるビジネスの特徴的なポイントを聞いたところ、「遊休資産を活用していること」「Peer to Peer(P to P)型であること」「プラットフォーム企業があること」の3つを挙げた。
同氏はこれら3つのポイントを、代表的なシェアリングビジネスであるライドシェア(車の相乗り)に当てはめて次のように説明した。
まず、遊休資産については、個人が自ら乗るために所有した車を活用し、自分が車を使っていない時にサービスとして提供するので「遊休資産の活用」となる。
次に、P to P型については、個人が所有する車の空いている時間を個人の利用者に提供する形なので個人間取引になる。提供者にとって企業という枠組みが必要なわけではなく、車を持って運転できれば誰でも提供者になれる。利用者も必要な時にプラットフォーム企業を通じて車を呼んで必要な時だけ車を使う。このように、サービスの提供者も利用者も不特定多数の間で行われるので、まさしく「P to P型」である。
そして、プラットフォーム企業は、サービスの提供者と利用者のマッチング(仲介)を行う役割を担う。アプリを配布し、提供者と利用者に登録してもらい、目的地や乗車地をGPS(全地球測位システム)などにより把握し、提供者と利用者の最適なマッチングを行うのである。提供者と利用者を把握し、時間や場所の情報によって最適な需給調整を、テクノロジの力を借りて行っている格好だ。利用後は決済機能もある。プラットフォームの利用に応じた手数料が主な収入源となる。さらに、プラットフォーム企業は取引における信用担保の役割も担っている。
野口氏によると、この3つのポイントによって、シェアリングエコノミーにおけるビジネスは、これまでの経済構造とは違ったビジネスモデルを提供しているという。