JR東日本とNECは5月22日、首都圏の鉄道路線の運行を管理する東京総合指令室に、クラウドとAI(人工知能)技術を活用した業務支援システムを導入することを発表した。25日に稼働を開始する。
同システムは、輸送障害発生時に運行管理部門での情報共有の高度化と判断を支援することに加え、技術継承の促進も目的にしている。
情報共有イメージ
特に首都圏の路線は複雑な運行形態にあり、他社路線との直通運転も増加している。このため事故や障害、災害などによる輸送障害では早期の復旧のために運行管理業務の高度化が必要となる。また、少子高齢化がさらに進む中で複雑な運行管理に必要なノウハウや技能の伝承も課題になっている。
システム構築に際しては、NECのAI基盤「NEC the WISE」などを使って業務マニュアルや約10年分の過去の輸送障害に関するドキュメントの自然言語分析を行い、デジタル化したという。
システム利用イメージ
また、アジャイル手法で輸送障害の対応状況を共有・可視化する情報共有基盤を開発した。クラウドのサーバーレス環境を使ってプロトタイプ開発を繰り返し、指令員の意見を常に反映、改良することで実践的な業務支援機能を開発する体制とした。
これらをベースに、輸送障害が発生した場合には、過去の類似事象の手配内容や教訓を提案する判断支援機能や、平常時には教育コンテンツとして活用するための技術継承支援機能も開発するという。