Mirantisは米国時間5月28日、「Docker Enterprise 3.1」のリリースを発表した。同社が11月に「Docker Enterprise」プラットフォーム事業を買収して以来、初のメジャーリリースとなる。買収前、Dockerは「Docker」コンテナーのテクノロジーを実用的な事業にしようと長年にわたって苦心していた。
Docker Enterprise 3.1はコンテナーオーケストレーションに「Kubernetes 1.17」を使用しており、安定性の向上とともに、スケジューラーの機能向上や、「Windows」のサポートなどを実現している。今バージョンから、クラスター管理者によるDocker Enterpriseクラスターへの「Windows Server 2019」ノードの追加が容易になっている。
こうしたノードの追加は、「Kubernetes」クラスターが「Docker Universal Control Plane(UCP)」によって管理されている場合に可能となる。また、「Windows Server」ノードとLinuxノードが混在しているクラスターのノード上でPodが実行されている場合、相互運用が可能になる。エンドユーザーは、Kubernetesを用いてWindowsコンテナーのオーケストレーションを行えるようになる。
さらにDocker Enterprise 3.1では、人工知能(AI)や機械学習(ML)といった用途のアプリ/プログラミングに向けた、NVIDIA製GPUのサポートも追加されている。これは、あらかじめインストールされているデバイスのプラグインを用いて実現される。ユーザーは、Docker UCP内のGPUノードを視覚的に把握できるとともに、GPUに対してYAMLによる標準的なPod記述を通じて要求を出したり、アクセス制御や共有リソース関連のGPUポリシーを生成できるようになる。
Docker Enterprise 3.1によって、「Istio Ingress」ネットワークサービスメッシュの配備がより容易になる。管理者はボタンをクリックするだけで、「Istio Ingress for Kubernetes」クラスターを有効化できる。
このリリースの契約面に目を向けると、Docker Enterprise 3.1ではサービスレベル合意書(SLA)の充実化が図られており、多くのミッションクリティカルなワークロードに対応できるようになっている。また、すべてのDocker Enterprise顧客向けに新たなサポートオプション「LabCare」「ProdCare」「OpsCare」が導入されている。
今まで利用可能だった最大のサポートレベルは、「Severity 1」と呼ばれるケースでの24時間365日サポートというものだった。ProdCareによって、顧客はすべてのケースで24時間365日というサポートを得られるようになる。またOpsCareによって、顧客は拡張SLAを締結することで自社環境に対するリモート運用管理が得られるようになるほか、専用のカスタマーサクセスマネージャーや、プロアクティブな監視/警告、継続的なヘルスチェックやレビューのための専用リソースを得られるようになる。
Mirantisの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のAdrian Ionel氏は「750社におよぶ顧客が、モダンなアプリを企業規模で構築/稼働させる上での最速の手段としてDocker Enterpriseを採用している」とした上で、「Docker Enterprise 3.1は、WindowsユーザーにKubernetesが持つ最高の機能を提供するとともに、ミッションクリティカルなアプリケーション向けのSLAを用意することで、その約束をさらに強固なものにする」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。