松岡功の「今週の明言」

ダッソー新社長が語る「コロナ対策への3D技術の貢献」

松岡功

2020-06-12 10:32

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、ダッソー・システムズ代表取締役社長のPhilippe Godbout氏と、レノボ・ジャパン執行役員副社長の安田稔氏の発言を紹介する。

「目に見えないコロナの影響を“見える化”して社会に貢献したい」
(ダッソー・システムズ代表取締役社長のPhilippe Godbout氏)

ダッソー・システムズ代表取締役社長のPhilippe Godbout氏
ダッソー・システムズ代表取締役社長のPhilippe Godbout氏

 ダッソー・システムズは先頃、事業戦略についてオンライン形式で記者説明会を開いた。冒頭の発言はその会見で、2019年12月9日付けで同社の代表取締役社長に就任したPhilippe Godbout(フィリップ・ゴドブ)氏が、同社の3Dおよびシミュレーション技術で新型コロナウイルス感染症対策に貢献したいと訴えたものである。

 コロナの影響を“見える化”するとはどういうことか。 Godbout氏はその事例について次のように説明した。

 「世界で猛威を振るう新型コロナウイルスに対し、各国の政府や関係機関は、社会に大きな影響を及ぼすさまざまな行動制限などの判断を下している。ただ、その判断が本当に正しいのかどうかは分からない。そこで当社の技術を活用し、例えば、咳やくしゃみの飛散現象や、飛行機の機内および空港などにおいて空調がウイルス拡散に及ぼす影響などをシミュレーションして、さまざまな判断の実証を行ったりしている」(図参照)

コロナの影響を“見える化”する事例(出典:ダッソー・システムズの資料)
コロナの影響を“見える化”する事例(出典:ダッソー・システムズの資料)

 まさしく同社の技術が幅広く適用できることを物語った話である。

 改めて同社のことを紹介しておくと、親会社であるフランスのDassault Systemsは、1981年の創業以来、CAD(Computer Aided Design)ソフトウェア「CATIA」を中心に世界140カ国以上で事業を展開し、現在27万社を超える顧客および1万2600社を数えるパートナーとのエコシステムを保持している。日本法人も設立して26年になる。

 事業領域は、航空宇宙・防衛、ビジネスサービス、建設・都市・地域開発、パッケージ製品・小売、エネルギー・資源、ハイテク、ホーム・ライフサイクル、産業機械、医療機器・医薬品、船舶・海洋、自動車・輸送機械・モビリティといった11分野にわたり、それぞれの業種に特化したソリューションを提供している。

 そんな同社が今、注力しているのは「3Dエクスペリエンス」戦略の展開だ。これまで3Dの分野において設計からデジタルモックアップ、製品ライフサイクル管理(PLM)へと領域を広げてきたが、最近では3Dエクスペリエンス戦略のもと、ものづくりとしてのエクスペリエンスを追求している。

 同社の3Dエクスペリエンス製品群は、デザイナーだけでなく一般消費者まで含めて、あらゆる人々が仮想空間の中で臨場感溢れる3Dの体験を創造・共有できる環境を提供しようというものだ。具体的には「ソーシャル&コラボレーティブ」「インフォメーション・インテリジェンス」「3Dモデリング」「コンテンツ&シミュレーション」といった4つの領域のアプリケーションと、それらの基盤ソフトウェアとなる「リアルタイム・3Dエクスペリエンス・プラットフォーム」を提供している。

 これまで一般的には馴染みの薄い同社だが、今回のコロナ騒動を機に、その技術がより多くの人の目に映る機会も増えそうだ。

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