ネットワンシステムズは、auカブコム証券の新ネットワーク基盤を独自アーキテクチャーによって構築したことを発表した。同基盤はネットワン独自の設計概念「サイト・面・エリア」を導入し、オンプレミスとクラウドを横断してシンプルかつ安全に運用できるようになっているという。
「サイト・面・エリア」の設計概念
セキュリティ強化・可用性向上という点では、システムについて用途別に4種類の「面」(顧客向けサービス、社内システム、開発環境、運用管理システム)を定義し、各「面」の間でネットワークを分離している。これにより、顧客向けサービスや社内システムで取り扱う機密情報のセキュリティを強化し、同時に、障害の際におけるシステム間の影響が限定的となることで、顧客向けサービスの可用性の向上を図っている。
事業スピード向上の点では、各「面」が、場所の区分である3種類の「サイト」(メインデータセンター、BCPデータセンター、クラウド)を横断して接続されているため、稼働させるアプリケーションの性質に応じて、オンプレミス/クラウドから最適なインフラを選択可能にしている。また、設計を標準化・簡素化したことで、ルーティングが最小限になっているため、システム変更時や障害時の影響範囲が明確になり、ネットワーク設計・運用の負荷が軽減し、システムの展開・変更スピードが向上している。
コスト削減では、各「面」の中に、機器構成をパターン化した「エリア」(サーバー収容エリア、回線収容エリア)を定義することで、共通利用する回線・機器を集約し、コストパフォーマンスを最大化している。これによって、機器台数・設置スペース・運用コストを50%削減し、消費電力も40%削減した。
その他の強みとしては、オンプレミスのデータセンター側では、クラウドでは性能要件が満たせない高性能・低遅延・高帯域なサーバーファームを実現するため、末端のサーバーまで10Gbpsで接続し、基幹ネットワークも最大60Tbpsまで転送可能な非常に高い性能を実現している。また、旧データセンターから新データセンターへサーバー環境を移設する際には、両データセンターを仮想的にレイヤ2ネットワークで接続しており、これによって、仮想サーバーのIPアドレスを維持したまま無停止での移行を実現し、サービスへの影響を最小限に抑えることができた。