デジタルトランスフォーメーション(DX)プロジェクトは、企業が古いやり方を捨て去り、未来に向けて自らを改革して、一気に競合他社を追い越すための手段だと言われている。しかし、もしそんなプロジェクトが失敗したら、何が起こるのだろうか。
米国や欧州、オーストラリアなどの企業役員を対象とした調査によれば、DXが失敗した際にもっとも多く見られた影響は、将来同様のプロジェクトを行うことに対する恐怖感を生み出してしまうことだという。
しかし、より警戒すべきは、2番目に多かった問題が「部門の完全な閉鎖」だったということだろう。失敗を経験した企業役員の4人に1人以上が、この項目を挙げている。
エンタープライズソフトウェア企業であるIFSが行った調査によれば、DXの失敗によって起こる可能性が高い9つの負の影響には、顧客や市場シェアの喪失、スタッフの人員削減や辞職などが含まれるという。IFSのレポートには、「厳しい現実だが、もしITプロジェクトが失敗したら、役員らの首が飛ぶ」可能性があるとも書かれている。
失敗の悪影響は長期にわたっている。失敗した企業の半数近くはプロジェクトの失敗から回復するのに1~2年かかったと述べており、3分の1は挫折からの回復に2~3年かかったと答えている。
DXプロジェクトが期限までに完了しなかった企業の半数近く(46%)は、他の分野で予算がカットされたと述べており、雇用の抑制(31%)や従業員間での内輪もめ(30%)、同様のプロジェクトに対する投資の中止(30%)なども発生していた。
こうしたリスクにもかかわらず、DXプロジェクトに投資することに意欲的な経営陣が多いのは、主にプラス面が(おおむね)マイナス面を上回っているためだ。
調査では、企業役員の71%がDXプロジェクトは期限通りに完了したと述べており、半数強が期待された結果が得られたと答えている。また、回答者の半数強(52%)がDXに対する支出を増やす予定であると答えているのに対して、縮小すると答えたのは18%だった。レポートでは、「経済の見通し」がビジネスのディスラプションにつながっていると答えた回答者は、DXに対する支出を増やす可能性が20%高いことも明らかになっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。