ミシン製造大手のJUKIは、スマートフォンやスマートグラスを活用し、保守作業の遠隔支援や作業ナビゲートなどを実現する「フィールド業務情報共有システム」をクラウド基盤上で導入、3月から稼働している。中国やベトナム、インド、マダガスカル、パキスタンでの修理・保守作業を日本の技術者が遠隔で支援している。
JUKIのシステム利用イメージ
導入したシステムは日立ソリューションズが提供するもので、オフィスと現場で情報を共有し、スマートフォンやスマートグラスを活用した遠隔支援、報告書作成、作業証跡(画像や映像)の共有など、さまざまな業務の効率向上を支援するクラウドサービス。海外の保守員は、スマートフォンの専用アプリ上で、手順通りに写真を撮影したり、文章を音声入力したりするだけで、作業報告書の作成やExcelへの出力が行え、管理者はリアルタイムに作業進捗状況を確認できる。また、これまで2人で作業してきた作業実施と作業確認を遠隔でのクロスチェックに変更し、作業確認者は事務所から複数現場をクロスチェックすることにより、移動時間の削減かつ作業効率を向上させることができる。
これまでJUKIは、海外の縫製工場などで工業用ミシンに不具合が起き、現地の保守員で対応できなくなると、日本の技術者が現地に出向き、原因調査や修理対応をしていた。しかし、人手不足や技術者の高齢化が進み、新型コロナウイルス感染拡大の影響で移動が制限される中、遠隔で現場を支援するニーズが急速に高まっていた。
「フィールド業務情報共有システム」の導入後は、日本の技術者が出張せず、スマートフォンやスマートグラスを通じて、海外の保守員を遠隔で支援できるようになった。また海外の保守員は、専用アプリ上で作業前後の写真や、作業中の映像を記録することにより、ナレッジやノウハウのデータ蓄積と、そのデータを活用した保守サービスの向上が可能になったという。