JUKIと日立製作所は10月15日、プリント基板の生産において、IoTを活用した生産ラインの最適化に共同で取り組むと発表した。
両社は、設備データを活用して変種変量生産を最適化する「プリント基板生産最適化ソリューション」を新たに開発した。このソリューションを適用することで、生産工程における部品の在庫管理から、設備の保守・予防保全までの全体最適化を実現し、作業現場のリアルタイムな把握、品質不良の原因究明、在庫管理や設備保全への迅速な対応が可能となる。
JUKIは、同ソリューションを同社の実装統合システム「JaNets」と連携するソリューションとして取り扱いを開始し、電子基板製造装置ユーザー向けに提供していく。また、日立産業制御ソリューションズがソフトウェアの提供およびシステム構築、導入エンジニアリングまでトータルでサポートする。
「プリント基板生産最適化ソリューション」の概要
「プリント基板生産最適化ソリューション」は、ソリューション化される前に、JUKIの生産子会社であるJUKI産機テクノロジーで検証が重ねられ、試験導入後1カ月で生産性を30%向上するなどの効果が確認されている。
同ソリューションは、「生産進捗・実績管理」「稼働実績分析」「不具合解析」「設備保全」および「在庫管理」といった、プリント基板生産ラインを最適化する5つのソフトウェアパッケージで構成されている。
具体的には、プリント基板生産ラインの装置をネットワークでつなぎ、一元的にデータ収集する「JaNets」の仕組みを活用することで、電子部品をプリント基板に配置するJUKI製のマウンタや検査機のほか、電子部品を管理・保管する自動倉庫、AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)といった各種設備から、稼働実績などのデータを吸い上げ、そのデータをもとに、日立の高効率生産モデルや運用ノウハウを生かして、生産ラインを可視化する。
また、検査装置やマウンタで取得した画像を画像サーバに収集し、不具合が生じた際には、発生状況を画像で速やかに確認できるため、発生原因の特定を迅速化できる。さらに、これらの画像サーバに蓄積したデータを活用し、不具合解析を常時可能にすることで、的確な再発防止策の立案が可能となる。自動倉庫・ライン双方における部品管理を一元化でき、メンテナンス要否を判断できる設備稼働情報を一覧表示できる。これにより、保全業務を効率化するだけでなく、装置の稼働実績に基づき保守を実施するCBM(Condition Based Maintenance)への転換を支援する。