ダイキンと日立、品質管理ノウハウのデジタル化に向けた共同実証を開始

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2018-10-16 09:26

 ダイキン工業と日立製作所は10月12日、化学品製造工程の反応プロセスに関する品質管理ノウハウのデジタル化に向けた共同実証を開始すると発表した。

 同実証では、ダイキンの淀川製作所(大阪府摂津市)内のフッ素化学品製造工程の反応プロセスに、作業者に異常発生や適切な操作タイミングなどをタイムリーに伝えることができるシステムを導入し、検証を行う。

化学品反応プロセスの解析・デジタル化の全体イメージ
化学品反応プロセスの解析・デジタル化の全体イメージ

 同システムは従来、作業者による定点的な目視確認に依存していた液体の発泡状況や色の変化などの反応状態を、日立の「Lumada」の画像解析技術を用いてデジタル化し、リアルタイムかつ連続のデータとして収集・解析するもの。これにより、化学反応状況を可視化する。

 小規模の化学品製造工程では、計装機器を用いてセンシングすることが困難なことがあり、品質管理は、作業者の目視による定点的な製造状態の監視をもとに行っている。しかし、液体の量や時間などの同一の製造条件下でも完成品の品質は異なるため、品質安定化のためにはかくはん中の液体の発泡状況や色の変化などに表れるさまざまな要因をもとに、品質管理を行う必要がある。また、生産性の低下につながるため製造監視の頻度を上げることも難しいという課題がある。

 両社は、事前にセンサやカメラを用いて4M(Man、Machine、Material、Method)の観点で化学品の反応状態(液色、発泡など)や、装置の動作(温度、回転数など)の時系列の数値・画像データを収集している。これらのデータを数値情報に置き換えて品質との相関性を解析した結果、従来の目視確認では把握できなかった、完成品の品質を左右する定量的な判断基準を確立でき、不良率低減、生産性向上の見通しが得られた。

 同実証では、システムを実際の製造現場に導入し、効果の検証やシステムの改良を行う。また、将来的には、新たに監視すべき要因の追加や、人の判断ロジックの更なる解析を通じて、熟練技術者が持っている製造ノウハウのデジタル化と、新たな製造手法の構築につなげていく。

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