NTTドコモは、全社規模で進めるデータ活用の取り組みに「Snowflake Streamlit」を活用している。社内でのデータ活用を“あたりまえ化”するためのプロジェクトを立ち上げ、全社への認知拡大を狙ってSnowflakeと協力して社内コンテスト「Snowcamp in docomo」を開催した。
コンテストでは、社内からアイデアを募って優秀なものはStreamlitでアプリを開発し、実際に業務で活用して効果測定まで行う。実際、アイデアの応募は70件に上り、そのうちの24件がアプリ化されたという。最終的には、「d払い加盟店アクティブ化促進に向けたデータ分析」というアプリが最優秀賞に選ばれた。
このアイデアを提案したのは、ドコモCS 東京支店営業部 スマートライフ担当課長の藤澤法子氏のチーム。同氏のチームでは、スマートフォン決済サービス「d払い」を導入したものの、実際には利用されていない休眠状態の加盟店に対して、利用を促進するための環境整備や、商店街エリアの中小個店を対象としたd払いの利用促進活動(アクティブ化)を実施している。
「これまでの営業活動はデータ活用が十分にできない状態だった」と藤澤氏は振り返る。例えば、営業ツールとして用意された地図データから、利用がない加盟店が多い場所を中心にエリアを選定し、アクティブ化のために店舗に訪問するものの、データに基づいた提案を提示できずに失注することが少なくなかった。中小加盟店ごとに個別分析してから訪問する時間がなかったからだ。また、アクティブ化したが思うように決済金額が上がらない理由が分からなかったり、キャンペーン実施後の効果測定をすぐにできなかったりしたという。
こういう状況の中、Streamlitアプリを導入することで「データに裏付けられた効率的・効果的な営業活動を推進している」(同氏)
具体的には、d払いのアクティブ状況を可視化することで、そのデータを基に営業活動エリアを選定可能になった。また、合計決済額・平均決済額・ユニークユーザー数・利用店舗業種・性年代ペルソナなど利用ユーザーの傾向をつかむことで、より具体的な提案活動が可能になった。「振り返りも簡単で次回の施策に生かせるようになった」と藤澤氏は強調する。
現在は、活動エリアの選定から、活動・商談、振り返りに至る全てのフェーズでStreamlitアプリを使用することで、業務プロセスの変革を進めている。業務効率化と収益性向上の効果としては、1日のエリア選定時間が1人当たり40分削減され、アクティブ件数が約2.1倍、当月決済発生件数が約1.4倍、当月決済金額が約4.5倍になった。
藤澤氏によると、Streamlitアプリは同社の営業活動に非常に有益であり、その利用範囲の広さと高い汎用性が評価されているという。さらに、このアプリは中小企業や加盟店向けのマーケティングツールとしても有効であり、今後さらに多くの場面での活用が期待されているとした。
ドコモCS 東京支店営業部 スマートライフ担当課長 藤澤法子氏(左)と、NTTドコモ スマートライフカンパニー データプラットフォーム部 データ基盤・データプロダクト担当課長 吉田祥平氏