大手クラウドコンピューティングプロバイダーのほとんどは、「グリーンIT」を追求すると約束している。そしてIDCが発表した新しい調査レポートでは、クラウドコンピューティングの広がりが、二酸化炭素(CO2)排出量を抑制するための大きなチャンスであることが明らかになった。ただし、クラウドコンピューティングが全体的なCO2排出量に与える影響は、今後数年の間にデータセンターがどのように構築されるかに大きく依存するという。
IDCは、クラウドコンピューティングへの移行によって、2021~2024年のCO2の排出量が少なくとも6億2900万メトリックトン抑制されるはずだと述べている。同社の試算では、仮に2024年にすべてのデータセンターが環境に配慮した設計になっていれば、削減量は16億メトリックトンに達するという。
またIDCは、2024年までに全データセンターの約60%が「よりスマートな」持続可能性を考慮した対策を採用していれば、CO2排出量を10億トン以上削減できると予想している。
この予想は、IDCが持っているサーバーの分布に関するデータと、クラウドとオンプレミスにおけるソフトウェアの利用状況に関するデータに基づくものだ。この試算には、データセンターの電力使用量、1キロワット時あたりのCO2排出量、クラウドと非クラウドのデータセンターのCO2排出量の比較に関する第三者機関の情報も使われている。
クラウドコンピューティングは計算リソースを集約できるため効率が高く、CO2の排出を抑制することができる。また大規模なデータセンターは、企業が個別に設けているデータセンターに比べ、電力容量の管理や冷却の最適化、省電力サーバーの活用、サーバーの稼働率の改善などを効率的に行うことができる。さらに、ワークロードが再生可能エネルギーの利用を最適化できる拠点で実行されるようになれば、それ以上に排出量を削減できる可能性がある。
大手IT企業の多くは、CO2排出量の削減に努めると約束している。IBMは2月、2030年までに温室効果ガス排出量のネットゼロの達成を目指すという計画を発表した。Microsoftも2030年までに、同社と同社が抱えるサプライチェーンでカーボンネガティブを実現すると述べている。Facebookも同様に、2030年までにCO2排出量のネットゼロを達成すると宣言した。Amazonは、2040年までにCO2排出量のネットゼロを達成することを目指すとしている。Googleは2007年にすでにカーボンニュートラルを達成しているが、2030年までに事業全体をカーボンフリー化することを目指している。一方、Appleは2030年までに同社と同社のサプライチェーンでカーボンニュートラルを実現することを目標に掲げている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。