日立製作所は3月31日、米GlobalLogicを95億ドル(約1兆260億円)で買収すると表明した。7月までの買収完了を見込む。「Lumada」ビジネスの国際展開を加速させるとしている。
記者会見する日立製作所 執行役専務CFOの河村芳彦氏、執行役社長兼CEOの東原敏昭氏、執行役専務 サービス&プラットフォームビジネスユニットCEOの德永俊昭氏(左から)
同日記者会見した執行役社長兼CEO(最高経営責任者)の東原敏昭氏は、今回の買収が「Lumadaのビジネスを進化、グローバル展開を加速させ、世界のLumadaとするため」と説明した。同社は2016年からLumadaのビジネスを推進。東原氏は、「産業システムの中にソフトウェアが組み込まれる時代となり、リアルタイムに接続される時代となっている。産業システムの技術、データに強みのあるGlobalLogicと一体になることで、さらに進化させる」と述べた。
GlobalLogicは、2000年9月に設立され、米国サンノゼに本社を置く。通信や金融、自動車、医療ヘルスケアなど約400社の顧客を抱え、データ活用のためのアジャイルな製品開発に強みがあるとする。2020年度の売上高の見込みは前年比19.3%増の9億2100万ドルで、調整後EBITA率は23.7%を予想しているという。
執行役専務 サービス&プラットフォームビジネスユニットCEOの德永俊昭氏は、Lumadaなどを中心とした同社の社会イノベーション事業では、データ活用や顧客企業との共創を通じて、企業や社会の課題解決に注力にしてきたと述べた。3月22日には東京に共創の新拠点「Lumada Innovation Hub Tokyo」を開設するなど拡充を進めている。
日立のLumadaとGlobalLogicの統合イメージ(日立製作所の説明資料より)
GlobalLogicは、産業システムの現場データをクラウドのデータセンターに接続する「Edge to Cloud」「Chip to Cloud」のテクノロジーを保有し、共創拠点を世界8カ所、デリバリー拠点を同30カ所展開する。德永氏は、これらのリソースとLumadaの組み合わせが成長エンジンになるとし、日立バンタラの人材を加味した合計約3万1000人規模の人材を有することになると述べた。
同氏は、高信頼のミッションクリティカルシステムの受託型開発に強みがある日立のITセクタービジネスと、GlobalLogicのIoTなどデジタル製造技術やアジャイル開発、共創型の事業開発が補完関係にあり、双方の強みを拡大、成長させると語った。
日立のITセクターとGlobalLogicの事業領域(日立製作所の説明資料より)
執行役専務CFO(最高財務責任者)の河村芳彦氏によれば、GlobalLogicの買収は傘下の日立グローバルデジタルホールディングスを通じて同日中に契約を締結し、7月までに完全子会社化するという。