米ZDNet編集長Larryの独り言

168年の歴史を持つリーバイスのAI、データ活用、デジタル変革--責任者に聞く

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2021-04-20 06:30

 Levi Strauss(以下Levi's)はデニム製品で有名だが、同社は自社の再定義を総合計画の中に取り込んでおり、そのために人工知能(AI)や機械学習(ML)、データサイエンスの力を借りようとしている。アパレル企業として168年の歴史を誇る同社には業務運営の効率化や、トレンドの予測/創出、顧客エクスペリエンスの向上に活用できるデータが蓄積されている。

 米ZDNetはLevi'sの最高戦略責任者(CSO)兼AI担当責任者であるKatia Walsh氏にインタビューし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のさなかでの同社におけるAIやML、データサイエンスへの取り組みについて話を聞いた。以下はそのポイントだ。

組織内でのAI/データサイエンスチームの位置付け:Walsh氏によると、AI部門は複数の部署を統括し、財務やテクノロジー、人事などのような水平的機能を有しているという。

 同氏は次のように述べた。

 このチームは当社において極めて歴史が浅い。私がこうした能力を持つチームを立ち上げ、リーダーとして率いていくためにロンドンからサンフランシスコに移って程なくして、COVID-19のパンデミックが発生した。このため、われわれはその年、12人でスタートした。この人数には私と、私のアシスタントも含まれている。そして、デジタルデータとAIの組み合わせがどのようなものであるのか、またそれが当社にどのように役立つのかについての、全社的な啓もうの方法にめどがつき始めた頃の3月16日に、サンフランシスコがロックダウンに突入した。ここ1年で皆が経験してきている困難については誰もが知るところだ。とは言うもののこの1年は、デジタルデータとAIが会社に何をもたらせるかを真に示す上で素晴らしい機会となった。

COVID-19の発生による行動の加速:AI関連の計画はその他のテクノロジー関連の計画と同様、COVID-19のパンデミックによって加速された。Walsh氏によると、同社は2020年の3月から8月にかけて、AIとデータを「顧客エクスペリエンスの向上から、社内の運用および運用効率の強化、そして新たな収益モデルとビジネスモデルの模索」に至るまでのあらゆることに使うよう加速させていったと述べた。

Eコマースと発送:Walsh氏によると、Levi'sではEコマースでの販売が急増したため、配達先に最も近い店舗から商品を発送するようにしたという。同氏は次のように述べた。

 われわれはAIを用いて、各店舗が有している在庫や、注文した顧客に向けた商品の配送距離、送料、注文を受けている商品が製造中止になった場合にその商品の価格を割り引く必要があるのかといった、さまざまな変動条件を最適化するMLエンジンを作り出した。

 また、気候と天気のデータとともに、疫学モデルや、金融及び市場の展望を考慮するようにもした。デジタルとデータ、AIという3つのパーツがフライホイールになるという私の考えをここまでの話で理解してもらえるはずだ。そして、この考え方は次の点で特に有効なものとなる。今まで以上にデータを活用することで、多くのポイントや多くの観点、多くの変動要素が見えてくるため、MLの活用によって、われわれのモデルをより賢くできるとともに、より優れた成果をもたらせるようになる。

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