人工知能(AI)の力が世界を席巻するという、誇大とも言える宣伝文句(そして多くの懸念)が何年にもわたって聞こえてきているにもかかわらず、AIが約束するものごとと企業における現実の間には依然として大きなギャップが横たわっている。
IT企業はAIの能力を長年にわたってアピールしてきている一方、ほとんどの企業にとってAIの利点は今なお捉えにくいものとなっている。
AIを効果的に活用している企業の割合や、活用度合いを測ることは簡単ではない。最近の複数のレポートを見ると、導入率は20〜30%であり、導入という言葉は「何らかのかたちでAIを実装している」という緩やかな定義となっている。
KPMGがGlobal 500に名を連ねる企業30社を対象に実施した調査によると、特定業務でAIを使用していると答えた回答者は30%だった一方、自社内で同技術を「大規模展開」していると答えた回答者はわずか17%だったという。
しかしどのレポートでも、企業のAIに対する興味が高まってきていることが指摘されている。リサーチ企業のGartnerによると、AI関連の技術を導入している企業の数は過去4年間で270%増加しているという。
グローバル戦略コンサルタント企業KearneyのパートナーであるJohan Aurik氏は米ZDNetに対し、「これは気付きの問題ではない。そのことは間違いない」と述べ、「役員と話をすると、誰もがAIカンファレンスに参加しているのが分かる。彼らは皆、AIについて見聞きしており、AIで何ができるのかについて気付いている」と続けた。
Aurik氏は「皆がそのことについて話しているが、実際に実行したというのは1人としていない」と述べた。
AIが約束するものごとは確かに魅力的だ。専門家らは同技術が成し遂げ得る大きな成長について指摘してきており、その声高ぶりは、気付かないままでいる役員などまずないだろうというほどだ。
既にちまたでよく語られているAIの応用事例として、機械学習(ML)をマーケティングやセールスに利用するというものがあり、これにより世界全体で最高2兆6000億ドル(約283兆円)の価値が生み出され得るとアナリストらは予想している。企業はAIの利用によって、顧客の行動に関するより優れた洞察を得られ、パーソナライズされた製品の設計に結びつけられるようになる。その結果、実店舗での販売が最大2%増加するという。

ほとんどの企業はAIの大きな可能性に気付いており、その導入を加速させようとしている。
提供:Gartner