この4年でAIを導入した企業の数が270%増加したことを考えれば、どうやら企業は、人工知能(AI)の導入からどれだけの投資利益率(ROI)が得られるかを真剣に考えているようだ。
Gartnerが米国時間1月21日に発表したレポートでは、AI導入率は昨年1年だけで3倍になり、何らかの形でAIを導入している企業は全体の37%に達したと推計されている。
この調査レポート「2019 CIO Survey」によれば、AIはさまざまなアプリケーションで使われている。
ただし、ここで言う「AI」は、自意識を持った「真の」人工知能の開発とは関係がない。むしろ、画像認識、自然言語処理、コグニティブコンピューティング、ビッグデータの自動分析、機械学習などをはじめとするさまざまな技術を包含した、包括的な概念だ。
Gartnerの調査担当バイスプレジデントChris Howard氏は、「あるCIOが所属企業でAIを使用していなければ、そのことを問題視すべきだ。自社で使っていなくても、競合企業ではAIを使用している可能性が高くなっている」と述べている。「複雑なタスクを完全に人間から引き継げる汎用AIの実現はまだ当分先だが、今はすでに、AIの支援を受けた作業と意思決定科学の世界に入っている。これは『拡張知能』と呼ばれている」
さまざまな業界の最高情報責任者(CIO)3000人以上からの回答に基づくこの調査によれば、AIは今後、どの分野でも企業戦略に欠かせないものになるという。
例えば、電気通信企業の52%は、すでに顧客体験とサービスの向上のためにAIを使用したチャットボットを導入している。
また調査によれば、企業の49%はすでに、社内の業務プロセスやサプライチェーンに新たな技術ソリューションを組み込むために、ビジネスモデルを変えている。