米国防総省(DoD)の10年間で100億ドル(約1兆円)規模というクラウドプロジェクト「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)契約を巡る終わりの見えない応酬に、新たな展開があった。Microsoftが2019年に契約を受注したものの、Amazonは政治的な介入があったと主張して、異議申し立てを行っていた。DoDとMicrosoftは契約獲得に対するAmazonの異議申し立ての一部を棄却するように求めていたが、連邦判事はそれを退けた。
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この連邦請求裁判所の決定は、すでにこう着状態となっているJEDIを取り巻く争いが、さらに長引く可能性を意味している。その一方で、DoD関係者の間では、JEDIを巡る争いに見切りをつけて、同じサービスを受けるために他の代替法を検討するかもしれないという声もあるようだ。
Patricia Campbell-Smith判事は米国時間4月28日、Donald Trump前大統領が契約先決定に干渉したというAmazonの主張を棄却しないことを決定した。多くの人は、Amazonがこの勝者総取りのような入札プロセスの最有力候補だとみなしていたが、2019年10月に契約を獲得したのはMicrosoftだった。その後すぐに、Amazon Web Services(AWS)は、Microsoftが受注した背景には、Trump前大統領の大きな影響があったとして提訴した。
しかし、DoDは2020年9月に、JEDIの契約先をMicrosoftにするという決定に、変更はないと発表した。
今回の判事の決定を、Amazonが好感しているであろうことは想像に難くない。同社の関係者は、声明で次のように述べた。
「Trump前大統領による不適切な影響があったという記録は憂慮すべきだ。それがJEDIの契約発注に与えた著しい影響を、裁判所が調査することを喜ばしく思う。AWSは今後も、技術的に優れた選択肢、より安価な選択肢として、DoDと米国納税者に最高の価値を提供していく。当社は、DoDの評価における多くの重要な欠陥を裁判所が検討することに期待しており、DoDが最高の技術を最良の価格で利用できるように、引き続き全力で取り組んでいく考えだ」
Microsoftの関係者は、この判決によって状況はあまり変わらないと主張している。同社のコミュニケーション担当責任者のFrank Shaw氏は、次のような声明を出した。
「この手続き上の裁定で変わることは、ほとんどない。DoDの調達専門スタッフは徹底的な審査の結果、1度ならず2度、当社を選定した。ほかの大規模な一流の顧客企業も毎週、同じ選択をしている。私たちは1年以上にわたり、JEDIを迅速に進めるための社内作業を行ってきた。当社は、今後もリモートワークへの迅速な移行や、米陸軍のヘッドセット『IVAS』などのミッションクリティカルな取り組みで、これまで40年以上行ってきたようにDoDと協力していく」
Microsoftは、「HoloLens」をベースにしたIVASを米陸軍に供給する契約を獲得している。10年間で220億ドル(約2兆4000億円)規模になるとみられており、JEDI契約の約2倍に相当する。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。