米国防総省の監察総監室は米国時間4月15日、同省が進める100億ドル(約1兆1000億円)規模のクラウドプロジェクト「JEDI」の入札プロセスについて検証した結果を報告書として公開した。それによると、JEDIの契約先としてMicrosoftが選定されたことに関して、Donald Trump大統領の言動による影響はなかったと考えられるという。313ページからなる同報告書には、JEDIを複数企業による共同受注ではなく、単独受注とするという決定は依然として有効だとも記されている。
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ただ、ホワイトハウスから得られた協力は限定的なものだったと同報告書は認め、以下のように記している。
「われわれは、JEDIクラウドの調達にホワイトハウスが影響を与えたかどうかの検証に取り組んだ。この件については完全に検証することができなかった。『情報伝達に関する大統領特権』によって、国防総省の法律顧問室から同省の複数の証人に対して、ホワイトハウスと同省職員の間で交わされた可能性があるJEDI関連の情報伝達について質問に回答してはならないという示達がなされたためだ。従って、われわれはJEDIクラウドの調達に関する、ホワイトハウス高官らと同省の上級幹部との間でやり取りされた、あるいはされた可能性のある情報の範囲や、その性質について明確に判断できない」
Microsoftでコーポレートコミュニケーションの責任者を務めるFrank Shaw氏は、「監察総監の報告書によって、国防総省は適切な調達プロセスを実施したことが明らかになった。それによると、Amazonの入札額が高すぎたため、同社が再入札の機会を模索しているのは明らかだ。またこの報告書によると、Amazonは本来入手すべきではないMicrosoft側の入札に関するプロプライエタリーな情報を手に入れている。Amazonは今の段階になって、国家の軍事に関する重要な作業を遅延させるとともに、高すぎる額で入札したという過ちをなかったことにしようとしている」と述べた。
Amazon Web Services(AWS)は11月、米国防総省が10年に及ぶ100億ドル規模のJEDIプロジェクトでMicrosoftと契約したことに異議を表明した。
JEDIの入札プロセスが進む過程で、多くの人々はAmazonが契約を勝ち取るだろうと考えていた。そしてプロセスの終盤には、この単一ベンダー独占契約をめぐって争う企業はAmazonとMicrosoftの2社に絞られていた。Googleは2018年10月に入札プロセスへの参加を取りやめ、OracleとIBMは2019年4月に要件を満たしていないとして選に漏れていた。しかし、国防総省は8月にJEDIプロジェクトの契約プロセスを一時中断すると発表した。中断が発表される前には、このプロセスで利害関係が衝突する可能性について、Donald Trump米大統領が不満を表明していた。Amazonの最高経営責任者(CEO)Jeff Bezos氏はThe Washington Postを保有していることなどから、Trump米大統領は政治的な頭痛の種としてBezos氏に矛先を向けてきた。
2月には、米連邦裁判所がAWSの申し出を認め、JEDIクラウド契約に伴うMicrosoftの業務を一時的に差し止めるとの決定を下した。
同報告書によると、Federal News Networkが伝えていたように、国防総省は入札に敗れたAWSに対して、JEDIの入札先決定にまつわる、本来公開すべきでない機密情報を開示していたという。
Microsoftは15日付けのブログ記事で、さらに詳しい見解を説明している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。