ブイキューブが見据えた「“ウェブ会議”周り」
以上が発表の概要だが、今回このサービスを取り上げたのは、まさしくニューノーマル時代に求められるソリューションであると感じたからだ。
図1にも示したバーチャル株主総会配信サービスを昨年から展開してきたことが、法改正に伴って今回の「バーチャルオンリー」をいち早く提供できる形につながった。
ブイキューブは2004年に商品化したウェブ会議システムで一躍注目され、今ではその技術をベースに、オフィスなどに設置するテレワーク用ブースやイベントのオンライン配信、そしてそのノウハウを応用した今回のバーチャル株主総会配信など、ビジネスの幅を広げている。
ただ、同社代表取締役社長の間下直晃氏は早くからグローバル展開を意識しており、それをこれまで幾度かの取材を通じて知っていた筆者は、新型コロナウイルスの世界的な大流行でリモートワークが広がった昨年来、そのツールとなるウェブ会議として米国生まれのZoomが一気に普及した動きに対し、「悔しい思い」をしているだろうと推察していた。
ブイキューブ代表取締役社長の間下直晃氏(2020年11月18日オンライン記者会見より)
この点について記者会見で間下氏に直接聞いてみたやりとりは、ZDNet Japan2020年11月27日掲載の「Zoomになれなかったブイキューブ間下社長の決意」に記したのでご覧いただくとして、今ではZoomの取り扱いもいち早く始め、主力である日本市場、そしてアジア地域において「コミュニケーションDX(デジタルトランスフォーメーション)」分野のトッププレーヤーになるべく、まい進している。
「ブイキューブがZoomになれたチャンスがあったのではないか」と聞いた筆者に、間下氏は「チャンスはあったかも。残念だ」と言いながらも、早くからウェブ会議の周りにさまざまな用途に向けた膨大なビジネスチャンスがあることを見抜いていたようだ。同社の今後のさらなるチャレンジに注目したい。