インテルは10月19日、メディアとの懇談会をオンラインで開催し、東京本社に「インテル データ・セントリックCoE(Center of Excellence)」を開設したことを明らかにした。リアルとバーチャルの両面で、企業顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を支援する取り組みとしている。
代表取締役社長の鈴木国正氏は、まず2021年当初に出された世界の半導体需要が10%増加するとの予想を挙げ、現状を説明した。世界的にあらゆる産業分野で半導体需要が高まっており、供給不足が深刻になっている。
「供給不足にはさまざまな原因があり、明確な説明は難しいが、世界的なDXの流れやIoTの拡大、また、端的にはコロナ禍におけるテレワークの拡大に伴うPC需要の高まりがあり、自動車の電動化も進んでいる。こうした背景から現在は、年初予想を上回る20~25%成長になると思われる。半導体産業は非常にリードタイムが長く、短期での急激な需要増に追いつけない事情がある」などと述べた。
こうした状況下でグローバル戦略としては、先進的なプロセッサー技術、オープンプラットフォーム、大規模な製造能力を軸に据える。社会に破壊的な変革をもらたす技術要素としてクラウド、コネクティビティー(接続性)、人工知能(AI)、インテリジェントエッジの4つを位置付ける。これら戦略と技術要素を踏まえ同社は、データを中心にその分析、活用によりビジネスが変革するDXが推進される「データ・セントリック・トランスフォーメーション(DcX)」を掲げている。
「データ・セントリック・トランスフォーメーション(DcX)」の概要
インテル データ・セントリックCoEの開設は、日本におけるDcXの取り組みの一環になるという。企業顧客やインテルのビジネスパートナーとのビジネスの共創や、インテルの技術の実装、最新アーキテクチャーへの適応をサポートする。データセンターやエッジIoTコンピューティング、5G(第5世代移動体通信)などを想定した環境が構築され、各種最新プロセッサーやこれを用いたシステム、ソリューションの検証や体験、アプリケーション開発検証、教育や人材育成などの機会を提供する。
「インテル データ・セントリックCoE」の概要
また、コロナ禍で移動に制約のある利用者向けに、同施設の3次元立体画像を再現したバーチャル体験も提供する。画面内のクリック操作で施設内を実際に訪問しているように移動でき、各所にオンデマンドでデモンストレーションの映像を再生する機能も配置する。当初は10種類程度のデモンストレーション映像が用意され、今後拡充していくという。
バーチャル版の「インテル データ・セントリックCoE」
バーチャル版の「インテル データ・セントリックCoE」
懇談会ではこの他に、デジタル人材の育成に向けた地方自治体との教育の取り組みや、ファウンドリー事業の推進状況、機密データを保護した活用支援のためのセキュリティ技術、2025年までのCPUのロードマップなどのトピックを紹介した。