米国防総省は米国時間11月19日、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Google、Oracleに対して、新たな数十億ドル規模の新規クラウド契約への応札を要請した。同省は7月、100億ドル(約1兆円)規模のクラウド契約案件である「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)の計画を破棄している。
新たな大規模クラウド契約である「Joint Warfighting Cloud Capability」(JWCC)は、マルチベンダーによる数量未確定(IDIQ)契約になる。米連邦政府は、現時点では契約先としてAWSとMicrosoftの2社だけを想定しているが、これは、現在入手可能な市場調査結果によれば、米国のハイパースケールクラウドサービスプロバイダーの中で、「現時点で国家安全保障上のすべてのレベルの分類でクラウドサービスを提供していることを含めて、国防総省のすべての要件を満たすことができると考えられる」のがAWSとMicrosoftだけだとみられるためだという。
ただし政府は、「国防総省の要件を満たせることを示したすべてのクラウドサービスプロバイダー(CSP)と契約を結ぶ」予定だとも述べている。
今回の契約は、2019年10月にMicrosoftが受注した、最長で10年間にわたる100億ドル(約1兆円)規模の契約JEDIに代わるものだ。JEDIの契約は、Microsoftと受注を競ったAmazonが訴訟を起こしたことなどから暗礁に乗り上げた。Amazonは、同社と当時の最高経営責任者(CEO)Jeff Bezos氏と確執があった当時のDonald Trump大統領が、圧力をかけたためMicrosoftが受注できたと主張していた。
国防総省は、「進展する要件、クラウドの情報や知識の増加、業界の進歩」などを理由にJEDI契約を中止したとしている。つまり、当初のJEDIの計画は法廷で棚上げされている間、次第に古くなったということだ。
Google CloudのCEOであるThomas Kurian氏は、同社がJWCCへの応札を招請されれば「必ず入札する意向だ」とブログ記事に書いている。ただし同社はここ数年、一部の従業員が国防総省との契約に関して懸念を示しているという問題を抱えている。
2018年には、同社がドローンの映像解析のための人工知能(AI)技術を国防総省に提供する契約を結んだことが内外からの批判を受け、同社はAIの開発に関する原則を公表している。「兵器や、主な使途や導入目的が人に危害を与えること、またはそれを直接的に助長することである技術」のAIを設計、導入しないと明言した。
Kurian氏は、今回のブログ記事で、これらの原則は「Googleが提供するAI製品や、Googleがどのような独自のAIプロジェクトを追求する否かに対して指針を示し、監督するものだ。われわれは今後も、当社の原則に沿った特定のプロジェクトに関して、米軍を含む米国政府との協力関係を継続していく」と述べている。
Googleはすでに、国防総省の各部門と複数の契約を結んでいる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。