アドビは12月6日、「アフターコロナに向けたデジタル戦略に関する調査」の結果を発表した。デジタルマーケティングとコロナ禍での業績変化、企業間のデジタル格差の明確化、顧客エンゲージメントに対する認識などが明らかになっている。
調査は、対法人ビジネスを主とする企業に務める経営層、営業管理職、マーケティング担当者など1040人を対象に2021年9月に実施した。
アドビ DX GTM・ソリューションコンサルティング本部 マネージャーの山下宗稔氏は、さまざまなデジタルマーケティングソリューションが登場しているなか、そのようなソリューションがコロナ禍で企業にもたらした影響を明らかにすること、企業が今後求める顧客との関係性を明確にし、対法人ビジネスにおけるデジタルマーケティングの可能性を探ることが調査目的だと説明した。
調査結果によると、デジタルマーケティングソリューション導入企業は31.9%で全体の約3分の1だった。ここでのデジタルマーケティングソリューションとは、ウェビナーや案件管理のためのソリューション、ウェブ商談や1to1コミュニケーションを実現するソリューションなどを指している。
調査結果によると、コロナ禍以前と比較して業績が縮小したとの回答は36.1%だったが、この傾向は、デジタル化に後れを取っている企業で顕著だという。デジタルマーケティングソリューションを導入している企業では、業績が縮小したとの回答が27.1%だったのに対し、そうでない企業では約1.5倍の40.3%だった。
デジタルマーケティングソリューションを利用している企業は、「顧客との関係性構築」を重要視し、「顧客のニーズ/アンメットニーズ」に応じ、適切なタイミングで適切な情報発信をしていたことが業績悪化を食い止める要因になったとアドビでは推測している。
コロナ禍で直面したビジネス課題としては、「新規商談や営業活動の減少」が最も高く(40.4%)、次いで「既存顧客の深耕営業の減少」(24.5%)が挙げられた。このことから、これまでのビジネスでは対面での顧客接点が営業活動の中心となっていたが、その機会が失われたことが企業の経営状況に影響を及ぼした可能性があるという。
デジタルマーケティングソリューションを導入している企業では、顧客との接点をデジタル化する傾向が顕著で、半数以上の回答者がオンライン商談の強化(57.5%)やオンラインセミナーの活用(50.3%)に積極的に取り組んでおり、急な社会の変化にも柔軟に対応し、顧客との関係性を維持・育成している様子が明らかとなっている。デジタルマーケティングを採用していない企業では、そのような取り組みが限定的で、「特に見直しはしていない」(37.1%)との回答が最も多かった。これらのことから、デジタル化の進展状況によって企業の対応力に差が出ていることがうかがえるという。
コロナ禍に実施して効果があった(売り上げにつながった)と思われるマーケティング施策を選ぶという設問においても、「特にない/わからない」との回答がデジタルマーケティングソリューションを導入している企業では21.4%だったのに対し、そうでない企業では56.8%と約半数を占めていると山下氏は指摘。