2021年のプロセスマイニング市場は、SAPがSignavio、IBMがmyInvenioをそれぞれ買収するなど大きく動いた。この分野の草分け的存在とされるベンダーがドイツのCelonisだ。その日本法人の代表取締役社長に12月1日付で村瀬将思氏が就任した。同氏に、日本におけるプロセスマイニングの展望やCelonisの日本市場での戦略などについて聞いた。
Celonis 代表取締役社長の村瀬将思氏
--Celonisのどこに魅力を感じたのでしょうか。
日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)の課題について考えた時、D(Digital)のデジタル化や電子化はできても、X(Transformation)にたどり着かず、Xを成し遂げて破壊的なビジネスを作れた会社があまり出てきていません。創造性にやや欠けるという国民性があるのかもしれませんし、DX人材の不足も原因でしょう。データは肥大化していますが、活用されておらず、可視性もありません。そして、サイロ状態のシステム群もあります。
Celonisは、プロセスマイニング業界を確立させた企業です。しかし、プロセスマイニングだけをしているわけではありません。プロセスマイニングは「業務のレントゲン」といわれ、データをもとにエンドツーエンドでビジネスプロセスを可視化します。ただ、それだけでは意味がありません。可視化によって改善を実行する部分についても、「Execution Management System(EMS)」を提供しています。ServiceNowやSalesforceなどの“資産”をCelonisがつなぎ、頭脳となってServiceNowへワークフローを流したり、通知を出したりするなどのことができます。つまり、データからプロセスを実行するという世界を作っているわけです。
以前に在籍したServiceNowでは、DXを掛け声に、「Experience(体験)が重要だ」と話し続けました。体験が良くなると、「便利だから」と使う人が増えます。そうすると、データが貯まっていきます。ですが、体験が良くなっても、ビジネスプロセス自体が変わっていなければ根本的な変革になりません。
経済産業省の「DXレポート 2.1」では、大量のデータを活用して課題を特定し、リアルタイムにデジタルで価値を提供することが必要といったことが書かれています。これは、Celonisがやろうとしていることです。Celonisを知った時、「DXの最後のピース」であると共感しました。