竹中工務店とアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)は12月16日、建設業界のあらゆるデータとその統合、分析により業務自動化やサービス高度化を図るとする「建設デジタルプラットフォーム」の構築を表明した。継続的開発と利用により建設業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を本格的に推進する。
「建設デジタルプラットフォーム」の概念イメージ
建設デジタルプラットフォームでは、竹中工務店が手がけるビルの設計や建設・施工から竣工後のビル利用や管理、メンテナンスに至るまでのあらゆるデータを「Amazon S3」ストレージ環境のデータレイクに集約・統合する。データは「SageMaker」などを利用して多角的に分析し、ビルにまつわるあらゆる業務で利用するための人工知能(AI)モデルを開発、予測シミュレーションとして意思決定に活用する。ここには建設機器やロボット、IoTデバイスが接続され、データの収集と制御なども行っていく。また、ビルに関する各種業務アプリケーションも稼働し、データの収集とビジネス分析、予測の活用などを可能にするとしている。
記者会見した竹中工務店 グループICT推進室長の岩下敬三氏は、現在の建設業界には幾多の難題が山積しており、あらゆる領域においてデジタル化を通じた変革をしなければ同業界が立ち行かなくなるとの強い危機感を示した。
竹中工務店 グループICT推進室長の岩下敬三氏
岩下氏によれば、建設業の生産性は1990年代まで製造業と同等だったが、現在では2倍近い格差があり、熟練者の大量退職と新規人材の大幅な減少で10年以内に100万人以上の労働力が不足するという。また、各種法令により労働時間の削減も義務化される。長らく続いている人に依存した建築にまつわるあらゆる業務の変革を推し進めなければ、生産性や品質、安全などをさまざまな面に深刻な影響が出るようになってしまうと述べる。
一方でこうした状況を変えることが期待されるテクノロジーとして、クラウドやIoT、ビッグデータ、AI、機械学習などが建設業で実用可能状況に進化してきており、業界の事業構造を抜本的に改革し得る機会が整ってきたとする。一例として同社では、AI予測モデルの開発を進めており、施工計画などのデータとこれまでの施工実績データを掛け合わせて、新規に手がけるビルの施工に必要な人的リソースの予測を月次で行い、現場とのギャップを埋めることに利用しているという。
「建設デジタルプラットフォーム」の利用例
「建設デジタルプラットフォーム」の利用例
「建設デジタルプラットフォーム」の利用例
「建設デジタルプラットフォーム」の利用例
「建設デジタルプラットフォーム」の利用例
従来でも部分的にこれらの取り組みを行ってきたが、テクノロジーが普及してきたことにより、今回の「建設デジタルプラットフォーム」としてデータと各種システムを統合して活用していけることが可能になったと説明している。
AWSジャパン 技術統括本部 技術推進本部長の小林正人氏は、世界各地の建設業界でも人材不足の問題を抱えており、今後は二酸化炭素の排出抑制による地球環境の温暖化防止にも取り組まなければならないなどの新たな課題が生じているとコメント。この状況に、多様なクラウドサービスとAIやIoTなどの技術を提供して、建設業界として活用していくことを含め支援を行っているとした。
AWSジャパン 技術統括本部 技術推進本部長の小林正人氏
竹中工務店では、2019年から全社の200種以上の業務システムをオンプレミス環境からAWS環境に移行する作業も進めており、2024年末に完了させる計画となっている。岩下氏は、「2025年以降は全ての業務において、何らかの形で建設デジタルプラットフォームを必ず利用するようになる。われわれだけでなくパートナーや周辺の皆さんがこのプラットフォームにつながり、業務の変革にとどまらず地域の発展に貢献するものにしていきたい」と抱負を語った。
建設業向けに利用できるとするAWSのサービス