デジタルトランスフォーメーションの力を目の当たりにした企業は、最高情報責任者(CIO)により多くを望むようになった。アナリスト企業Gartnerによると、テクノロジー責任者が2021年以降に力を入れるのは、イノベーションを可能にする投資だという。
こうした新たな関心は、ITの専門家が新しいプロジェクトで経営陣の支持を取りつける絶好の機会だ。では、デジタルリーダーが自身のチームの新しいアイデアを認知させて資金を得るには、どうすればいいだろうか。4人のテクノロジー責任者が、スマートなアイデアをビジネスの改善につながるプロジェクトへと変えるベストプラクティスについて語った。
1. IT部門とビジネス部門のオープンチャネルを維持する
食品およびサポートサービス会社のCompass Group UK & IrelandでCIOを務めるJon Braithwaite氏によると、素晴らしいアイデアに気づいてもらうための鍵は、経営陣と従業員の対話であるという。
「これはすべてのCIOに当てはまることだと確信しているが、素晴らしいアイデアが経営陣から降りてくることもあれば、自分がスマートなアイデアを思いついて上に伝えたいこともある。それはまさにオープンチャネルだ」と同氏は述べた。
Braithwaite氏は毎週会社の取締役会に出席し、ITチームが今取り組んでいることや、次にやりたいことについて話す。繰り返すが、会話は双方向で行われる。経営陣は、ITチームが探求したい分野を理解しようと耳を傾けてくれる。
「それは大きく開かれた扉だ。私は閉ざされたものを推進するつもりはない。Compassはテクノロジーへの投資に意欲的で、その投資から得られる利益に期待している。私が見る限り、経営陣との関係は非常に良好だ」とBraithwaite氏。
「ITチームがお金を賢く使っているか知りたいと思われていることは間違いない。だが、真の望みはテクノロジーとイノベーションを活用することだ。1つのプロジェクトに着手して、それがうまくいくと、すなわち、やると言ったことを実行して、想定した成果が得られれば、次の会話で『このアイデアを試してみたいので少しお金を出してほしい』と言うのがはるかに容易になる」
2. より大きな戦略的目標に力を入れて部門間の信頼を築く
保険会社Cover-More GroupでグループCIOを務めるNicki Doble氏によると、自分のスマートなデジタルアイデアに注目してもらいたいCIOは、絶対にテクノロジーについて話すべきではないという。
CIOは細かいことにとらわれるのではなく、テクノロジーに関する自分のアイデアをより広範なビジネス戦略に結びつけなければならない。したがって、サイバーセキュリティへの投資によってリスクを軽減できることを伝えたい場合も、AIの研究によってデータから新しいカスタマーインサイトを得られる可能性を示す場合も、焦点はビジネスの大きな戦略目標に当てる必要がある。