CloudflareとAkamaiは、ロシアから撤退するよう強く求められているが、同国でサービスを継続する考えをあらためて表明した。
サービスを停止した場合、国外からの情報にアクセスしようとするロシア国民へのダメージになると両社は主張してきたが、ロシアによる理不尽なウクライナ侵攻に非難の意を表明するとしている。
Cloudflareの最高経営責任者(CEO)Matthew Prince氏は、政府などから、ロシア国内ですべてのサービスを「打ち切るよう複数の要請を受けている」とブログに書いた。
同氏は、市民社会に関する専門家と協議した上で、「当社は、ロシアにはさらなるインターネットアクセスが必要だとの結論に至った」としている。「紛争が続く中で、ロシアのネットワークから世界中のメディアへのリクエストが急増している。ロシアの一般市民が、ロシア国内で提供されるニュースだけでなく、世界のニュースを知りたいと強く思っていることの表れだ」(Prince氏)
同氏は、「無差別にサービスを打ち切れば、ロシア政府にほとんど損害は及ばないが、国外の情報へのアクセスが制限され、当社のサービスを利用して身を守りながらロシア政府を批判してきた人々の立場を大きく弱めることになる」としている。
さらにPrince氏は、ロシアでCloudflareのサービスを停止することをロシア政府は歓迎するだろうとの考えを示した。
「われわれは、ウクライナの人々の多くが、テクノロジー分野で企業にロシアにおけるサービスの停止を求める精神を強く理解している。しかし、Cloudflareは本来、オープンかつプライベートで安全なインターネット提供しており、ロシアでサービスを完全に停止することは誤りだと考えている」(Prince氏)
Akamaiも同様に、熟慮した上で、ロシアにおけるネットワークを維持することで、顧客への支援を継続できるとの考えを示した。
同社は、「世界最大規模のニュースサービス、ソーシャルネットワーク、民主的な政府組織の多くを含む、当社のグローバルな顧客が、ロシア市民を含む世界中に不可欠で正確な情報を提供しようとする中、このことはそのような顧客を支えている」としている。
Akamaiは、ロシアとベラルーシで販売活動をすべて一時停止し、国家が株式の大半を所有する両国の顧客との取り引きを打ち切っている。また、アプリケーションに関するすべての制裁に従うほか、Akamai Foundationを通じて人道的ニーズに対応すると説明した。
また同社は、ウクライナの政府機関が同社の製品とサイバーセキュリティチームを利用できるようにしており、「ウクライナの国民が保護され、国を守るために必要な情報にアクセスできるように」しているという。
Cloudflareは、CrowdStrikeやPing Identityと連携し、「重要インフラ防衛プロジェクト」を立ち上げている。3社は今後4カ月間、米国の病院、エネルギー公益事業、水道施設などに広範なサービスを無料で提供し、重要インフラのサイバーセキュリティ対策強化を支援する。
このプロジェクトの下、対象となる組織は「Cloudflare Zero Trust」ソリューションスイート、CrowdStrikeのエンドポイント保護およびインテリジェンスサービス、Ping Identityのゼロトラストアイデンティティソリューションを利用できる。
また、このプロジェクトは、公共分野の主要なパートナーと協力し、どの業界の企業でも、サイバー攻撃から保護するための段階的なセキュリティ対策を導入する上で利用できるロードマップを提供する。
このようにサイバーセキュリティを強化する動きは、米国土安全保障省(DHS)のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)が2月にウェブページ「Shields Up」で公開したアドバイザリーに応じたものだ。CISAは、ロシアのウクライナ侵攻を考慮し、すべての米企業がサイバーリスクの高まりに備えられるよう促した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。