日本国内でも企業利用が増えているクラウドサービスでの設定ミスは、サイバー攻撃などの一因となりやすい。トレンドマイクロが公開した2021年の年次セキュリティレポート「「2021年 年間セキュリティラウンドアップ」では、主要なクラウドサービスであるAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure(Azure)、Google Cloud Platform(GCP)でよく見られる設定ミスの傾向を紹介している。
同社のセキュリティ製品「Trend Micro Cloud One–Conformity」の統計データで判明した設定ミスの発生件数が多いサービスでのミスの発生率は、AWSでは「AWS CloudFormation」で44%、「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)で35%、「Amazon Elastic Block Store」(Amazon EBS)で29%。Azureでは「Viurtual Machines」で65%、「Storage accounts」で61%、「App Service」で59%。GCPでは「Cloud IAM」で98%、「Virtual Private Cloud」(VPC)で75%、「Cloud SQL」で47%だった。
AWSで見られる設定ミス(出典:トレンドマイクロ)
Microsoft Azureで見られる設定ミス(出典:トレンドマイクロ)
Google Cloud Platformで見られる設定ミス(出典:トレンドマイクロ)
この結果について同社は、「比較的歴史があるAWSのAmazon S3でも設定ミスの発生率は35%あり、法人組織が利用しているクラウドサービスにおいて多くの設定ミスがあることがうかがえる」と指摘する。
各社ともプロバイダーとユーザーの間で責任範囲を規定する「責任共有モデル」を採用しており、こうした設定ミスはユーザー側の責任範囲となりやすい。
「クラウド環境は、いつでもどこでも接続可能であるという利便性がある一方で、セキュリティ対策上の隙があると、大規模な情報漏えいや外部からのサイバー攻撃にさらされやすい側面がある。いま一度現在稼働中のクラウドサービスのみならず準備中の環境も含めて設定ミスを含むセキュリティ対策の見直しを推奨する」(トレンドマイクロ)としている。