企業にとって重要なテーマになりつつあるサステナビリティー経営。これを支援するITソリューションは多くのベンダーが手掛けているが、「経営」だけにとりわけ統合基幹業務システム(ERP)ベンダーにとって有利になるのか。
サステナビリティー経営のPDCAサイクルとは
サステナビリティー経営とは、環境、社会、経済の持続可能性(=サステナビリティー)に配慮した経営のことだ。従来のように収益を追求するだけでなく、サステナビリティーに関わる取り組みを経営の中心に据えることが、社会的責任を果たし、企業のブランド価値向上につながるという考え方である。
サステナビリティー経営が注目される背景には、国連をはじめとした世界的な取り決めとして、SDGs(持続可能な開発目標)の達成が2030年まで、カーボンニュートラルの実現が2050年までとする期限があり、これに向けての取り組みを明示し積極的に活動を進める企業の評価が高まってきていることがある。そして、こうした企業の取り組みをITソリューションで支援しようというベンダーの動きも活発化している。
そうした中、日本オラクルが4月22日、グローバルでのサステナビリティー経営に関する調査結果とOracleの取り組みについてオンラインで記者説明会を開いた。会見の内容は速報記事をご覧いただくとして、その説明の中で表示された図の1つに筆者は注目した。それがサステナビリティー経営に必要なソフトウェアとそれによって行える業務を記した図1である。
図1の左側には、「サステナビリティーの実現には…(中略)すべての経営プロセスに対する取り組みが必要」と記されている。すなわち、サステナビリティー経営にはこれだけの要素を連携し活用する必要があるということだが、右側の図をよく見ると、Analyticsや人工知能(AI)&IoT、顧客体験(CX)は機能要素だ。したがって、アプリケーションの観点から見れば、ERPをはじめサプライチェーンマネジメント(SCM)、人的資本管理(HCM)、企業業績管理(EPM)の4つが主な対象となる。
図1:サステナビリティー経営に必要なソフトウェアとそれによって行える業務(出典:日本オラクル)
加えて、同社が図1に続けて表示した図を2つ紹介しておくと、上記の「すべての経営プロセスに対する取り組み」をPDCA(Plan, Do, Check, Action)マネジメントサイクルの4象限で示したのが、図2だ。そして、図3は図2の内容に対してOracleのソリューションがすべてカバーできることを示したものである。この2つの図の最大のポイントは、PDCAに則っていることだ。すなわち、経営そのものなのである。
図2:サステナビリティー経営におけるPDCAサイクルでの作業内容(出典:日本オラクル)
図3:図2に対してOracleが支援するソリューション例(出典:日本オラクル)