この先、質の高い教育を提供しようとする教育機関は、対面で授業を受ける学生とオンラインの学生が同じように充実した経験を得られるような仕組みを整える必要がある。
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英オックスフォード大学のサイードビジネススクール(SBS)は、それを実現するためにさまざまな手法を取り入れている。SBSは、コロナ禍が始まってからのこの2年間、教室や講堂を作り替え、ビデオ会議の技術やスクリーン、ホワイトボードなどを使った、対面とオンラインの両方の学生に没入感の高い体験を同時に提供できる環境を整えようとしてきた。
SBSは、同校のオンライン教育を支えるために、コンテンツプラットフォームには「Canvas」と「Moodle」を、ビデオ会議プラットフォームには「Zoom」を使用している。また、「GetSmarter」などのサードパーティーパートナーと協力して、世界中の学生にパーソナライズされたコンテンツを大規模に提供している。
サイードビジネススクールの最高情報責任者(CIO)を務めるMark Bramwell氏は、こうしたテクノロジーは100%オンラインの授業でも対面での授業でも非常に有効だが、両方の形式を併用した授業に使うには難しい部分があると述べている。
Mark Bramwell氏
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同氏によれば、オンライン授業の品質はこの2年間で大きく改善してきたものの、多少なりともウェブベースの授業を物理的な教室でなければ得られない体験に近づけるためには、まだ多くの課題が残っているという。
しかし、それを実現できるようにすることは非常に重要だ。大学は、時間を作るのが難しいプロフェッショナルの生涯学習に対する需要の高まりに応えるために、キャンパスでの授業とオンラインでの授業を融合させる必要がある。
教育の一部の要素は今後もキャンパスで行われることになるが、多くのセッションはオンラインで提供されるようになる。教育分野を専門とする調査会社CarringtonCrispが、MBA教育の国際認証機関であるEFMDと共同で実施した調査によれば、ビジネススクールの卒業生の半数以上(51%)は何らかの形の生涯教育を受けたいと考えており、77%は授業にオンラインでアクセスしたいと回答していたという。
Bramwell氏によれば、SBSが考える融合型の教育環境には、24時間いつでも学べる学習モデルに移行することも含まれており、これには対面教育やオンラインプラットフォームから、バーチャル教室まで、さまざまな技術が使われる。
「重要なのは、適切なプラットフォームや体験を適切な人々に提供し、教わる側が一番都合がよいタイミングで学べるようにすることだ」と同氏は言う。
これからも、一番都合がいいのは対面で学ぶことだという学生はなくならない。少なくともSBSにはそれが当てはまる。Bramwell氏は、SBSには教室で授業を受けるために、世界中から記録的な数の学生が集まっており、2022年のMBAの学生のうち97%が、62カ国から集まった国外の学生だと述べている。