Amazon Web Services(AWS)は米国時間7月7日、「M1」プロセッサー搭載の「Mac mini」(2020年発売)を使用した「Amazon EC2 M1 Mac」インスタンスの正式リリースを発表した。M1は、Appleが独自に開発したArmベースのプロセッサーだ。
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同インスタンスは、専用のMac miniコンピューターを「Thunderbolt」経由で「AWS Nitro System」に接続したものであるため、他の「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」インスタンスと同じように扱い、動作させることができる。
開発者はこの新インスタンスを用いることで、Appleが独自に開発したシステムオンチップ(SoC)であるM1を搭載したシステムにアクセスできるようになる。このため例えば、同インスタンスを用いることで、既存のアプリをM1搭載「Mac」でネイティブ実行できるようにするためのアーキテクチャーの再構築が可能になる。
またAWSによると、「iPhone」や「iPad」「Apple Watch」「Apple TV」向けの開発で、より高速なビルドが可能になるという。
新インスタンスのオンデマンド料金は1時間あたり65セント(約89円)であるため、ユーザーは専用のホストを1カ月約474ドル(約6万5000円)で利用できるようになる。
AWSはAppleがM1プロセッサーを搭載したMac miniを発表した直後の2020年12月に、同プロセッサーを搭載したインスタンスの計画を明らかにしていた。なお、このM1プロセッサー搭載Mac miniの価格は699ドル(日本では税込9万2800円)からとなっている。AWSが2021年12月にプレビューを開始したM1 Macインスタンスは現在、PinterestやIntuit、FlipBoard、Twitch、Goldman Sachsといった顧客に使われている。
M1 Macインスタンスに採用されるM1は、8基のCPUコアと8基のGPUコア、16GiBのメモリー、16コアの「Apple Neural Engine」を搭載している。なお16GBのRAMと256GBのSSDストレージを搭載したMac miniは899ドル(同12万800円)で販売されている。
M1 Macインスタンスは、Intelプロセッサーを搭載したAppleの前世代Mac miniで構成された「Amazon EC2 Mac」インスタンスよりも低コストな選択肢となっている。なおMacインスタンスは、6基のコアを搭載した「Intel Core i7」プロセッサーと32GiBのRAMで構成されており、その利用料金は1時間あたり1.083ドル(約148円)となっているため、専用のホストを1カ月あたりおよそ790ドル(約10万8000円)で利用できる。
AWSによると、M1 MacインスタンスはMacインスタンスと比べると、iPhone向けやMac向けのアプリのビルド作業において、価格性能比で最大60%の向上が見込めるという。
M1 Macインスタンスは、「Amazon Machine Images(AMI)」として「macOS Big Sur」(バージョン11)と「macOS Monterey」(バージョン12)をサポートしている。
AWSのデベロッパーアドボケートであるSebastien Stormacq氏の説明によると、このインスタンスはユーザーの「Amazon Virtual Private Cloud(Amazon VPC)」に接続し、「Amazon Elastic Block Store(Amazon EBS)」ボリュームから起動し、Amazon EBSのスナップショットや、AMI、セキュリティグループの他、「Amazon CloudWatch」や「AWS Systems Manager」などのAWSサービスを使用するという。
AWSの新たなFAQによると、このインスタンスは現在、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、欧州(アイルランド)、アジアパシフィック(シンガポール)の4リージョンで提供されている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。