クボタとアクセンチュアは8月30日、持続可能な社会の実現に向けた合弁会社「株式会社クボタデータグラウンド」を設立し、9月1日に事業を開始すると発表した。クボタグループの事業モデルや事業運営基盤のデジタル変革(DX)を加速する役割を担う。
クボタデータグラウンドは、クボタグループのDXを推進する戦略機能子会社。先端のデジタル技術とデータを活用し、食料・水・環境分野や気候変動の緩和と適応に向けた新たなソリューションの創出を目指す。また、デジタルによる既存事業の強化と高度化に向け、デジタル人材の育成と社内外のサービス/データをつなぐデジタルプラットフォームの整備を手掛ける。
具体的には、「サステナビリティーソリューションの創出」「ビジネストランスフォーメーションの推進」「デジタル人財の創出」「クラウドベースのDXプラットフォームの構築」の4つに取り組む。
「サステナビリティーソリューションの創出」では、食料・水・環境分野における「データの収集・分析・活用」を進め、各分野のビジネスプロセスを効率的なものへと変革し、サステナブルなソリューションの構築を進める。
食料分野においては、モノのインターネット(IoT)・人工知能(AI)・クラウドといった技術を活用し、作物や農地のデータを活用して農業全体の生産性を向上させる。これにより、生産から流通にいたるまでのフードバリューチェーン全体を見据え、食料にまつわる諸課題の解決のほか、新たな付加価値の創出を目指す。
水分野においては、都市インフラの災害に対するレジリエンス(回復力)の向上や水インフラの延命につながるソリューションの創出に取り組む。環境分野においては、さまざまな廃棄物を回収・選別し、電力や肥料、有価金属の再生産へと循環させる資源回収ソリューションを構築していくとしている。
「ビジネストランスフォーメーションの推進」では、デジタル技術を活用してクボタの既存サービスの強化や品質向上、より安全に働く環境づくりなど、事業の効率化と高度化を推進する。この取り組みの一環として、工場内の作業機器や車両に取り付けたRFIDタグやセンサーから収集されるデータ、作業員に配布されるモバイルアプリを活用し、作業効率の最適化や事故を未然に防ぐ仕組みを取り入れたスマートファクトリー化を進める。
また、製品の設計・開発・製造に至るプロセスをデジタル上で再現する「デジタルツイン」を構築することで、グローバルレベルでデータに基づく意思決定の迅速化、業務の自動化・省力化や標準プロセスの整備を加速させ、インテリジェントオペレーションへの変革を目指す。
「デジタル人財の創出」においては、2024年12月末までに1000人程度の業務DXを推進する「業務系DX人財」と、高い専門性を持つ「技術系DX人財」の育成を目指す。加えて、経営幹部を対象にしたデジタルワークショップや全社員向けの教育プログラムなどを通じて、クボタ全体でのデジタル人材の創出を加速する。「業務系DX人財」に対しては、さまざまな社内外のDX事例を学ぶワークショップや実業務の課題解決につなげる実践的なカリキュラムを想定しているという。
「クラウドベースのDXプラットフォームの構築」は、さらなるグローバルでの事業拡大を見据えた、データ駆動型で柔軟な経営の意思決定の実現に向けて、センサーから収集した収穫・生育情報や外部の気象情報といったクボタ内外のさまざまなデータやノウハウの蓄積・共有を可能にするクラウドベースのDXプラットフォームを「Microsoft Azure」上に構築する。
また、世界66拠点におけるITガバナンス強化のほか、世界全体でセキュリティリスクを検知する体制の整備、海外セキュリティ担当者に対するトレーニングの実施などによって、グローバルなセキュリティの高度化を実現する。