NECは、グループ最大のオンラインイベント「NEC Visionary Week 2022」を開催している。9月12~16日までを「Visionary Track」として、社会の在り方や取り組むビジネスの課題とその解決方法について、基調講演などを通じて発信。10月4~7日までは「Business Track」として、ビジネス実現に向けた具体的なソリューションや技術を42本のセッションを通じて紹介することにしている。
NEC 代表取締役 執行役員社長兼CEOの森田隆之氏
9月12日午前に行われた森田隆之社長兼CEO(最高経営責任者)による基調講演のテーマは、「Truly Open, Truly Trusted」。これは今回のイベント全体のテーマであると同時に、6月から森田氏が社内外に向けた「CEOメッセージ」として発信している言葉でもあるという。森田氏は、この言葉を「不確実な時代において、NECがパーパス(目的)を実現するために、いま、大切にするキーワード。変革の支援を進める際に大切にしたいキーワードでもある」と位置付け、基調講演では自らこの言葉の狙いについて説明する最初の機会となった。
森田氏は、「NECは真のオープンと真のトラストで、『All share benefit』な世界を目指し、われわれの存在意義であるパーパスを果たしていく」と述べる。今後は講演や会見などを通じて、このメッセージを積極的に発信することになりそうだ。
このメッセージを正しくは、「Truly Open, Truly Trusted-This is NEC.」とし、「イノベーションを加速させる」「社会インパクトを最大化させる」「All Share Benefitの世界を実現する」といった3要素で構成する「Truly Open」、「信頼に裏打ちされた技術」「技術を正しいことに使う姿勢」「ミッションクリティカルを支える力」の3点による「Truly Trusted」に分けることができる。
新たに打ち出したメッセージの意味
Truly Openについて森田氏は、「オープンな市場環境が多様性を生み、イノベーションを加速させることができる。ICTが社会に広く深く浸透した今日、より大きな社会価値を生むために、NECはさらなるオープン化を支えていく。そして、パートナーとの共創を推進し、社会インパクトを最大化させ、All Share Benefitな世界を実現する」と語った。
Truly Openを構成する「イノベーションを加速させる」では、特定の国や企業によるロックイン構造を排除し、オープン化を進め、広く多様性を受け入れることがあらゆる産業においてイノベーションを加速させることだと示し、「NECはオープンな環境を確保するための多様なネットワークインフラと、そこで流れるデータのセキュアな活用に貢献する」とした。
また、「社会インパクトを最大化させる」という点では、パートナーとのオープンな共創を進め、それぞれの強みを掛け合わせることで、技術をより大きな社会価値に転換し、社会インパクトを最大化させることを目指す。「『共感できる未来』を構想、発信し、共感してもらった仲間とともに、実証を行うことで社会実装を進める」と述べる。
そして、「All Share Benefitの世界を実現する」では、ユーザーが自由度高く接続し、セキュアにデータを活用できるプラットフォームの提供を目指すという。「このオープンプラットフォーム上で、NECとエコシステムパートナーのテクノロジーを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の社会実装を進め、社会、お客さま、NECの誰もが利益を享受できる、All Share Benefitの世界を実現する」と語った。
一方、「Truly Trusted」では、「真にオープンな社会を実現するには、技術そのものや、その担い手に対する信頼が欠かせない。NECは時代ごとのミッションクリティカルを支えることで培ってきた技術と信頼があり、これからも技術を正しいことに使う姿勢を世に示し、社会からの継続的な信頼を獲得していく」とする。
「信頼に裏打ちされた技術」では、NECが持つ世界トップクラスの生体認証と、人工知能(AI)や5Gといった信頼性の高いコアテクノロジーを活用する。さらに、サイバーセキュリティ技術や量子暗号といった最先端技術へもたゆまぬ開発投資を行っていることを示した。
「技術を正しいことに使う姿勢」では、技術への漠然とした不安を取り除き、その価値を社会から受け入れられるようにするために、それを使う人、企業への信頼が必要不可欠であるとする。その上で、「NECは技術の利用についてのポリシーを定め、自社技術が公正に利用されることを世に示し、社会からの信頼を獲得する。その信頼とともに、技術の社会実装を進め、体験価値に転換させていく」としている。
そして「ミッションクリティカルを支える力」では、NECの120年以上の歴史の中で、時代ごとのミッションクリティカルシステムを支えてきた経験を示しながら、「ここで培った技術者の層の厚み、システム構築および運用への強みは、変化する社会の中でも変わらず、顧客の事業と社会を支えていく」と宣言した。