MuleSoftが毎年公開している「接続性ベンチマークレポート」の第8弾によれば、今日のビジネスリーダーはITからより多くの成果を得ようとしており、ITに対する支出が1組織平均1億1700万ドル(約150億円)まで増加しているという。この調査は、従業員数あるいは職員数が1000人以上の公共機関あるいは民間企業のIT部門で管理職以上の職位にあるITリーダー1050人を対象として実施されたものだ。
提供:NIST
MuleSoftが以前発表したレポートでは、2023年のデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する7つのトレンドを明らかにしており、これには生産性やアウトプットを拡大するために、ITの自動化への投資や、ローコード・ノーコード開発ソリューションの普及が進むことなどが含まれていた。
MuleSoftが公開した2023年版の接続性ベンチマークレポートの要点は次のようになっている。
- リーダーが効率化への投資を進める中、IT部門はより多くの成果を挙げている。今日のリーダーはITに対してより多くの成果を求めており、IT投資は1組織あたり平均1億1700万ドルまで増加した。一方、2022年は要求されたすべてのプロジェクトを完了できたIT部門の割合が以前よりも増加しており、IT部門が事業部門からの要望に応える能力は以前よりも高まっている。
- DXに失敗した場合に被る損失が増大した。多くの組織ではDXが予定よりも早く進んでいるが、DXが失敗した場合のリスクも大きくなっている。平均的な組織がDXの取り組みに失敗した場合に被る損害額は、950万ドル(約12億円)にまで増加した。
- アプリケーションの数が急増していることで、統合が困難な状況が続いている。企業は多数のアプリケーションをエコシステムに追加しており(2022年にはアプリケーションの数が平均976だったのに対して、2023年には1061になっている)、システム統合が難しくなっていることがDXの妨げになっている。また、これらの問題を解決するためにカスタム型インテグレーションを採用した組織は、高い代償を払っている(年間470万ドル:約6億円)。
- 顧客はコネクテッドエクスペリエンスを期待している。3分の1以上(36%)の組織が、すべてのチャネルでユーザーに完全なコネクテッドエクスペリエンスを提供しており、2022年の30%よりも増加した。ただしユーザー体験の統合は、依然として多くの組織で課題になっている。
- 企業のあらゆる部門が自動化を求めており、自動化の導入率は上昇している。ほとんどのIT部門は、自動化の取り組みを一元的に管理している(67%)か、一元的に追跡している(59%)が、自動化を求めるIT部門以外の部門が増えていることから、企業はノーコード開発ツールによってその需要を満たすことを検討し始めている。
- APIはコスト削減と売上高の最大化に貢献しており、APIはDXの鍵を握っている。APIは開発の効率化に繋がり、平均で組織の売上高の38%を生み出している。また、DXが予定より早く進んでいる企業のうち、93%が明確なAPI統合戦略を持っていた。
以下では、1050人のITリーダーから得られた回答の要点を紹介する。