アビーム、不動産管理システムをSaaSで提供--「SAP ERP」を活用

田中好伸 (編集部)

2013-01-31 16:22

 アビームコンサルティングは1月31日、不動産管理システムをSaaSで利用できる「アビーム不動産管理ソリューション(ABeam Cloud RE Solution:ACRES)」の提供を開始した。月額の利用料は50万円から。利用開始準備期間は最短で2カ月~を想定している。価格と利用開始準備期間は、利用するサービス範囲や企業規模などで異なる。

 ACRESは、SAPジャパンの統合基幹業務システム(ERP)パッケージ「SAP ERP」がベース。デベロッパーや不動産ファンドなどのアセットマネジメント会社、プロパティマネジメント会社などオフィスや商業ビル、賃貸住宅などの不動産を所有、管理する企業を対象にしている。

 不動産管理業務は、ビルや建物の企画立案から工事進捗管理などの開発管理、完成後の物件管理、賃貸借契約管理、債権債務管理、固定資産管理、収支管理や投資評価などが含まれる。各業務で取り扱う情報量も多く、情報収集や分析業務も膨大となり、間接業務コストの肥大化や意思決定が遅くなるという課題を抱えている。今回のSaaSは、こうした課題を解決できると説明している。

 ACRESでは物件や契約の管理といった日常の業務の機能に加え、不動産特有の複雑な賃貸料計算処理、ビルメンテナンス業務、固定資産管理など、従来の不動産管理システムよりも広い範囲の業務内容をカバーしているという。さまざまな会計システムとの自動連携も柔軟に対応できると説明している。

 経営判断のために必要な各種情報を分析、取りまとめるレポーティング機能のほか、不動産管理業務に関する情報を一元的に管理することで、各種データの正確性を担保し、外部への開示資料の品質も確保すると説明。それぞれの業務領域を有機的にリンクする設計となっているため、各業務領域でシステムが分断されていた場合と比較し、業務の効率化とコスト低減、業務品質の向上も図れるとしている。

 これまでの導入実績から導き出される、不動産管理業務で把握すべき主要業績指標(KPI)やポイントを可視化し、不動産評価を効果的、効率的に展開できるという。賃借条件一覧表や物件別収支の情報を用いた分析では、操作性が高く、グラフィカルに表示することで、迅速に意思決定を支援できるとメリットを強調している。

 SAP ERPをベースにしているACRESでは、事業特性や保有不動産のアセットタイプにあわせて、業務効率化やレポート作成の負荷を軽減するための機能を強化している。ユーザー企業のニーズにあわせて必要な機能だけを利用できる。試用しながら段階的に導入の範囲を広げられるので、企業の状況や事業の変化にあわせて柔軟に利用できるという。

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