コンカーとアビームが提携、間接費削減にクラウドを活用--経費精算を効率化

三浦優子

2014-09-19 13:41

 Concur Technologiesとアビームコンサルティングは9月18日、間接費削減管理での提携を発表した。Concurは、クラウドで出張経費、購買間接費など企業の間接費を管理するためのクラウドサービスを提供している。アビームでも間接費削減のためのコンサルティングなどのサービスを提供してきたが、コンサル終了後の定着が課題となっていた。両社が提携することで、Concurが提供するSaaSを利用し、コンサルが終了した後でも企業に間接費削減を定着させることを狙う。

日本独自の電子マネーなどにも対応

 Concurは1993年にワシントンで設立。日本法人は2011年と、設立後18年後に日本に進出している。米本社でグローバルセールスを担当するエグゼクティブバイスプレジデントでゼネラルマネージャーのMichael Eberhard氏がConcurの特色を次のように説明する。

Michael Eberhard氏
Concur Technologies グローバルセールス担当エグゼクティブバイスプレジデント/ゼネラルマネージャー Michael Eberhard氏
三村真宗氏
コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏
中本雅也氏
アビームコンサルティング 執行役員 プリンシパル 製造統括事業部 統括事業部長 中本雅也氏

 「当社は、従来は紙で行われていた経費精算をデジタルで行うためのソリューションを提供することを目的に設立した。当初はクライアント/サーバ(C/S)向けとして提供していたが、2003年にクラウドへ移行を図り、ここで成功を収めることができた。現在はクラウドサービスとしては世界で2番目となった企業であり、Fortune 500のうち62%がユーザーとなっている。クラウドサービスの大きなメリットとしては、いかにほかのサービスと連携し、システムとして統合できるかが鍵となる」

 Eberhard氏は「日本市場では、日本の交通系電子マネーであるSuicaやPASMOなどとの連携、乗換案内を提供するジョルダン、楽天トラベルなどサービス事業者との連携で経費精算にかかる作業を省力化して、企業にとってのリスクヘッジを実現する」

 同社が提供するクラウドサービスは、出張などの事前申請管理から出張管理、旅程管理、従業員リスク管理、経費管理、請求管理、支払管理、経費監査というT&E(Travel&Expense)にまつわる一連の作業をしているしている。

 日本法人の代表取締役社長である三村真宗氏は「T&Eは日本ではまだ新しいテーマだが、急速に市場が広がる実感がある分野。経費精算は企業の規模、業界や業種に関係なく、全ての企業に存在する業務であり、面倒なことが多い作業で、経理部門では膨大なチェック作業が発生する。これがクラウド、スマートフォンの普及で不便な部分が解消されるのではないかと大きな期待がもたれている」と指摘する。

 Concurのクラウドサービスを日本で提供するにあたり、Suicaなど日本独自の電子マネー、楽天トラベル、乗換案内といった固有サービスと連携している。企業で利用する場合、企業のポリシーに則ったホテル、交通機関を選択でき、不要に高級ホテルを利用するといったトラブルがなくなる。従業員にとっても、出張の経費精算にまつわる業務の省力化を図れるというメリットがある。出張に行った場所で事故や災害が起こった場合に、旅程管理などの機能で従業員のリスクも管理できる。

コンカーが提供するサービス コンカーが提供するサービス
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今回の提携での役割分担 今回の提携での役割分担
※クリックすると拡大画像が見られます

 「こうしたメリットが理解され、2012年1月のサービス開始以降、国内の利用企業が増加している。DeNA、セゾンカードインターナショナル、富士ソフト、アートネイチャーをはじめ、16の業界の国内最大手企業がConcurを採用している」(三村氏)

 過去8年、Concurの成長率は年28%だが、日本法人はそれを上回る133%成長と、高い成長率を続けている。

 アビームでは企業の間接費を減らすために、コンサルを含めたサービス「ABeam ICOS(Innovative Cost Optimization Solutions)」を提供している。「コンサルは3カ月から、特に長い場合は1年、客先に常駐して実施していく。今回、Concurとの提携でICOSの定着化、標準化、分析、見える化を図れる」とアビームの執行役員 プリンシパル 製造統括事業部 統括事業部長の中本雅也氏は指摘する。

 Concurのクラウドサービスを利用することで、間接費削減のための基盤として利用することで、コンサル終了後も同じように標準化されたサービスを使い続けて、コンサル効果を定着させることにつながることが期待できるという。

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