日立、クラウドサービスを「Hitachi Cloud」に再体系化--他社製も一元管理

齋藤公二 (インサイト)

2014-08-26 19:02

 日立製作所は8月26日、同社グループが展開するクラウドサービスを新たに「Hitachi Cloud」として体系化し、他社サービスを含む複数クラウドを一元的に管理できる基盤として提供することを発表した。

 日立は2009年からクラウドサービスを「Harmonious Cloud」というブランド名で展開。2012年以降はヴイエムウェアやマイクロソフト、Amazon Web Services(AWS)、セールスフォース・ドットコムなどと協業し、プライベートクラウドやハイブリッドクラウド環境を提供してきた。

 日立グループの社内向けには、25万人が利用するメールコラボレーション環境、9万人が利用するシンクライアント環境(VDI)、調達や給与、旅費、人事などのシェアードサービスといったクラウド基盤をグループ32万人向けに提供してきた。

塩塚啓一氏
日立製作所 執行役常務 情報・通信システムグループ 情報・通信システム社 システム&サービス部門CEO 塩塚啓一氏

 日立製作所の情報・通信システム社 システム&サービス部門CEO 塩塚啓一氏は、そうした取り組みについて「日立はクラウドのベンダーであると同時に大規模なユーザーでもある。32万人の利用実績と広範な実業で磨いたITをクラウドサービスとして提供する」と日立のクラウドの強みを強調した。

 今回のクラウド基盤体系は、顧客のニーズ多様化を受けて2013年12月から開始した、クラウド基盤技術開発のためのプロジェクトの最初の成果となるもの。同プロジェクトは、グループ会社を含めた事業部門や研究開発部門にまたがる約300人体制で推進され、AWS、シトリックス・システムズ・ジャパン、エクイニクス、マイクロソフト、レッドハット、セールスフォース・ドットコム、ベライゾン、ヴイエムウェアなどと協業している。

Hitachi Cloudの構成
Hitachi Cloudの構成(日立製作所提供)

 クラウド基盤体系の中心になるのが「フェデレーテッドクラウド」と呼ばれるクラウド連携とマイグレーション、監視・運用のサービスだ。顧客サイトに構築されたプライベートクラウド、日立サイトに構築されたマネージドクラウド、AWSや「Microsoft Azure」などのパートナークラウドを適材適所で組み合わせ、シームレスに利用可能な環境として提供する。

中村輝雄氏
日立製作所 情報・通信システムグループ 情報・通信システム社 クラウドサービス事業部 事業主管 中村輝雄氏

 情報・通信システム社 クラウドサービス事業部 事業主管の中村輝雄氏によると、フェデレーテッドクラウドとして当初提供されるサービスは、複数のクラウド環境を一括管理するためのポータル「フェデレーテッドポータル」、顧客のプライベートクラウドとパートナークラウドを連携させるための「出前クラウド Federated Edition」、複数クラウドを高速、安全に接続するための「クラウド統合ネットワーク」となる。

 フェデレーテッドポータルでは、AWSやAzureといった仕様や操作方法の異なるクラウドを1つの画面から一元的に管理できることが大きな特徴。管理画面では、契約や運用、監視といったさまざまな業務に対応する。2015年5月から提供する予定。

 出前クラウド Federated Editionは、1ラックにブレードサーバやストレージ、ネットワーク機器などを統合したシステムとして提供している「出前クラウド」を強化したサービス。新たにフェデレーテッドポータルを組み込み、AWSなどを統合管理できるようする。価格は月額60万円から、2014年12月から提供する予定となっている。

 中村氏は「フェデレーテッドクラウド環境の実現で業務アプリケーションの特性にあわせたクラウドの利用や、複数のクラウド上に配置された業務アプリケーション群の効率的な運用管理が可能になる」とメリットを説明した。

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