日立、植物工場向けクラウド--データを可視化、栽培設備を遠隔で制御

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2014-05-30 17:10

 日立製作所は5月29日、植物工場内の生育環境のデータや栽培設備の制御データを収集してリアルタイムで可視化するとともに、生育環境や栽培設備を遠隔で制御できる「植物工場生産支援クラウドサービス」を開発したと発表した。

 価格は、扱うデータの種類や数、工場の広さなどの条件で異なるが、標準構成で月額1万8000円。初期費用として環境設定や装置の購入、設置などの費用が別途必要。6月1日から提供する。

 このサービスには、日立独自のデータ収集制御装置「Farm Gate Way(FGW)」が活用される。FGWは、植物工場内の光や温度、湿度、二酸化炭素濃度、養分、水分など植物工場内の生育環境の各種センサの情報、細霧冷房や養液ポンプといった栽培設備の制御データを定期的に収集。データセンターに送信するとともに、データセンターから指示データを受信し、栽培設備を制御する。

 ユーザー企業は、データセンターでデータを収集、蓄積、配信する基盤を経由して、リアルタイムでモニタ画面に表示するとともに、生育環境のデータを収集するセンサや栽培設備の設定値の制御を遠隔で指示できる。収集したデータを蓄積し、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを活用して分析、評価することで生産管理や経営視点での意思決定を支援するという。

 植物工場生産支援クラウドサービスは、グランパが開発したエアドーム型植物工場「グランパドーム」に採用されている。グランパドームは円形水槽の自動スペーシングシステムを採用した、太陽光を活用する植物工場。

 グランパドームでは、これまでも生育環境のデータや栽培設備の稼働状況のデータを収集していたが、データの確認はエアドーム内の制御盤のモニタ画面を操作、確認する必要があったため、リアルタイムでの監視、制御が難しく、運用負担が大きくなっていたという。

 同サービスを活用することで、生育環境や栽培設備に関する約1000項目のデータを1分ごとに収集し、遠隔地にある拠点のモニタ画面でリアルタイムに確認、生育環境のデータが適正な水準で推移するように栽培設備を一括で制御でき、効率的な稼働状況管理を実現したという。

 日立では、スマート情報分野での製品サービス群を「Intelligent Operations」として体系化しており、新たに提供を開始した同サービスを中心に、農業分野向けの「Intelligent Operations for Agriculture」の開発、提供を推進し、農業生産の安定化、6次産業化を支援していく方針という。

植物工場生産支援クラウドサービスの概要
植物工場生産支援クラウドサービスの概要(日立製作所提供)

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