本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ウイングアーク1stの内野弘幸 代表取締役社長CEOと、デルの町田栄作 執行役員の発言を紹介する。
ウイングアーク1st 代表取締役社長 内野弘幸氏
「BIツールは、現場が自由に使いこなせるものであることが重要だ」 (ウイングアーク1st 内野弘幸 代表取締役社長CEO)
ウイングアーク1stが先ごろ、ビジネスインテリジェンス(BI)分野の新製品として、現場部門でのデータ分析や活用を支援する情報活用ダッシュボード「MotionBoard Ver.5.0」を5月15日に発売すると発表。また、クラウドサービスの新ブランド「MotionBoard Cloud」を立ち上げ、その第1弾としてプライベートDMP(Data Management Platform)向けのサービスを6月上旬より開始することも発表した。
内野氏の冒頭の発言は、その発表会見で、BIツールの普及に向けた大事なポイントを強調したものである。
MotionBoardは、企業のシステム内に蓄積されたデータを可視化するBIツールで、同社が3年前から手掛けている戦略製品だ。その最新版であるVer.5.0では、業務を知る現場部門が設計や改善、運用ができるようにさまざまな機能強化を図っているという。
また、クラウド対応では、2年前にクラウドサービス大手のSalesforce.comと提携し、「MotionBoard for Salesforce」を提供。これに加えて今回は、自前のクラウドサービスの新ブランドを立ち上げ、いわゆる“クラウドBI”の展開に一層注力していく構えだ。
これらの製品・サービスのさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは内野氏が会見で語ったBI事業への思いに注目したい。
同社はかねてBIツールとして「Dr.Sum」を展開してきた。MotionBoardはDr.Sumのフロントツール部分を切り出して、情報活用ダッシュボードとして経営層から現場部門まで幅広く利用してもらうことを狙ったものだ。
内野氏によると、こうした戦略展開を図ったのは、「クラウド時代の到来をにらんだもの。クラウド化が進むと、経営やビジネスに関わる情報がさまざまなところから入手できるようになる。そうなると、そうした情報を誰もが分析し活用できるダッシュボードのようなBIツールが、これまで以上に求められるようになってくる」との読みがあるからだ。