ウイングアーク1stは3月26日、データ可視化ツールの新版「MotionBoard Ver.5.0」を発表した。インメモリ技術を使った高速なオンライン分析処理(OLAP)を可能にしたほか、地図機能の強化、Excelとの連携強化、データソースの拡充など、500以上の新機能を追加した。
5月15日から出荷する。価格は5ユーザー100万円から。特定領域ごとにビジネスインテリジェンス(BI)ツールをSaaS型で提供する「MotionBoard Cloud」も発表した。
MotionBoardは、システム内に蓄積されたデータを可視化し、現場部門での情報活用を支援するBIツール。同社が展開するBIエンジン「Dr.Sum EA」からフロントツール部分を切り出し“情報活用ダッシュボード”として提供している。流通小売、製造業など国内160社に導入実績がある。
MotionBoard Cloudは、MotionBoardを特定領域に特化したクラウドベースのBIツール。同社はSalesforce.comと提携し、2012年から“クラウドBI”と言える「MotionBoard for salesforce」を提供してきたが、これとは異なる新サービスとして提供する。第1弾として、デジタルマーケティング分野を対象にプライベートDMP(企業が独自に構築するデジタルデータプラットフォーム)を分析するダッシュボード「MotionBoard Cloud for DMP」を6月上旬から提供する。
ウイングアーク1st 代表取締役社長兼CEO 内野弘幸氏
ウイングアーク1st 営業本部 ソリューションビジネス推進部 部長 中土井利行氏
ウイングアーク1st MotionBoard開発本部 統括部長 島澤甲氏
代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)の内野弘幸氏は「BI事業の実績は前年度比で115%。ライセンス販売、新規保守、継続保守ともに右肩上がりで成長している。導入企業も増え、Dr.Sum EAは4290社、Salesforce.comと提携して提供しているクラウドサービスは76社に達した」とビジネスの状況を説明。
MotionBoardの事例として、日次ベースの生産実績ダッシュボードを報告書代わりに使用しているというヤマハのケースや、生産にかかわる業務の統合データベースに使用している富士ゼロックスマニュファクチャリングを紹介した。
「MotionBoardの新版では、セルフサービス型BIとして現場の方が自由に使いこなせるよう強化した。MotionBoard Cloudは、本格的にクラウドを始めるという覚悟を示したもの。2020年にはクラウド事業で売り上げの40%を取る計画を立てている。ソフトウェアベンダーでありながら、ソリューションベンダーとしても拡大していきたい」(内野氏)
MotionBoardの製品戦略や機能については、営業本部 ソリューションビジネス推進部部長 中土井利行氏と、MotionBoard開発本部 統括部長の島澤甲氏が解説した。
Dr.Sum EAはデータの収集や加工などを含めたプラットフォームであり、データの集計やレポーティングを得意とするのに対し、MotionBoardは、現場部門がデータを統計分析などを含めて可視化できることに力を入れた製品だとした。
新版の特徴としては、データソースを拡大し、大量データを高速に処理できるようにしたことが挙げられる。これまでもSQL ServerやDB2、Teradata、HiRDB、HADBなどのデータソースを利用できたが、新版では、新たにAmazon Redshift、HP Vertica、Greenplum、Excelに対応した。
インメモリ技術を採用したことで、これらのデータソースを高速に処理することができるようになった。インメモリ技術は、複数のサーバに搭載した複数のメモリをまとめて利用できる方式で、データ量が増えた場合に、スケールアウトやスケールアップで対応できることが特徴という。GUIでボタンをクリックするだけで、データをインメモリ化できるなど運用も簡単だという。