カーソルを合わせると、日本と世界の貿易を、その年の「景気動向指数」「政策」「予算」などの観点から月~年単位でビジュアライズしたデータをみることができる「OPENMETI」――経済産業省がいわゆる「オープンデータ」を推進するために公開したコンテンツが話題を呼んでいます。
「OPENMETI」
オープンデータ以外でも「ビッグデータ」など、データに関するトピックが話題に上ることが多くなってきました。従来からデータが大事であることは広く共有されていますが、そこに新しいパラダイムとしてオープンデータ、ビッグデータ、データサイエンスとデータを冠したキーワードが多く、その意味するところが現在進行形で問われ続けています。
この流れはビジネスにも無関係ではありません。データをいかにわかりやすく伝えるか、可視化するかはデータサイエンティストや、データ分析担当者はもちろん、レポートや企画書など、データを紹介する必要のあるビジネスマンや情報システム担当者にも通じるテーマと言っていいでしょう。
こうしたデータの可視化や、データを誰もが扱えるように成形する流れは、企業が自社の経営判断を適切にするためのビジネスインテリジェンス(BI)や統合基幹業務システム(ERP)など一部のアナリテイクス関連製品で使えるものがありました。しかし、取得できるデータの量が増え一部のツールも手軽に使える環境になりつつあるため、データをわかりやすく可視化する「データビジュアライゼーション」という考え方が出てきています。
本稿ではデータビジュアライゼーションとは何かを解説します。まず「データ」を取り巻く世界の行政やビジネスに関する流れについてまとめてご紹介します。
データをとりまく潮流
イギリスで2000年代中頃から先進的な取り組みが続いていたオープンデータやオープンガバメントの潮流が、第1次オバマ政権発足時に米国にも飛び火し、2009年に初代最高情報責任者(CIO)職が設置されてオープンガバメント3原則が打ち立てられ、能動的な情報公開や次代の民主主義としてITダッシュボードやデータカタログのウェブサービスが運用され始めました。
2013年のG8サミットにて、オープンデータの推進が盛り込まれた内容が「オープンデータ憲章」としてG8参加国の間で合意されました。外務省のサイトで概要が公開されています。
日本政府もG8オープンデータ憲章実行計画を発表し、日本でのオープンデータの流れはさらに加速しています。
またMcKinseyが、オープンデータを活用することで経済的価値を年間3兆ドル(300兆円)生み出すことができるというレポートを出していて、インパクトのある数字が独り歩きしてしまっている感もありますが、経費の削減と新たな需要の創出が期待されています。
同じくデータつながりでビッグデータについても、半ばバズワードのように取り上げられることが多いですが成果を出している企業の事例が増えてきました。
データサイエンスと呼ばれるジャンルも新しいものとして日本でも定着しはじめ、各大手サービス運営会社で選任者が積極的にナレッジを共有され、関連書籍が翻訳され始めています。