データビジュアライゼーションとは
特に今はデータの可視化について現在進行系で試行錯誤している段階で、さまざまな言い回しが使われます。いわく、データビジュアライゼーション、インフォメーションデザイン、インフォグラフィックス、インフォーメーションビジュアライゼーション、ネットワークビジュアライゼーション……。
同じ言葉であってもその意味するところが人によって異なっている場合もあり、混乱してしまいそうです。要素を分解すると切り口としては以下のものが考えられます。
- データが内部に埋め込まれている(読み手から隠蔽されている)か、外部から静的/動的に読み込まれているか
- アウトプット表現は静的か動的か
- インタラクション(相互作用)があるかどうか
アウトプットが静的か動的かは実はあまり決め手にならず、データビジュアライゼーションという定義としてはここでは以下の組み合わせを想定しています。それは「データを外部から読み込む」ということと「インタラクションがある」ことです。ここに大きな特徴があります。
これに対して、これまで紙面にあったような例えばエディトリアルデザインの「インフォメーショングラフィックス」と呼ぶようなものについては、「データが内部に埋め込まれていてる」+「インタラクションがない」ということが言えると思います。つまり、
- ビジュアライゼーションについてのルールとその例外処理について、作り手以外の外部からそのロジックを推測することが難しい。
- 参照したデータとビジュアライゼーションとの関連性の証明が難しい
- 作り手が用意した視点からしかデータを眺めることができない
といったことが言えます。
データをわかりやすく表現する価値とともに、データビジュアライゼーションの定義をまとめると以下のようになります。
- あるデータが、予め用意されたアルゴリズムを用いて、コンピュータによって描画されること
- その描画によってデータを眺めているだけではわからない傾向や特徴が明らかになっていること
- アルゴリズムはコーディングによって定義され、形式知化/可視化されていること
- ソート/フィルタ/トグルなどのインタラクションが可能で、その場で結果がすぐ得られること
これらの意味するところはインタラクションのあるビジュアル表現をコーディングによって作り上げる、というとです。一方、最近はデータビジュアライゼーションがブラウザ上で実装可能になってきました。
後編では、ブラウザ上で実装可能になってきたデータビジュアライゼーションをとりまく最新技術と事例を解説します。
- 矢崎 裕一
- 株式会社ビジネス・アーキテクツに勤めた後、2008年6月独立。各種デバイスのインターフェイスデザインに注力し、PC、スマートフォン以外にもテレビ、デジカメ、カーナビなどのUI設計経験がある 。データ・ビジュアライゼーションにまつわる実践的な手法や実例を紹介していくvisualizing.jpを運営中。一般社団法人コード・フォー・ジャパン正会員。