EMCジャパン、ストレージ製品新戦略--「データが重力の中心に」

大河原克行

2012-06-08 15:52

 EMCジャパンは6月8日、今後の製品戦略を説明するとともに、ハイエンドストレージ「EMC Symmetrix VMAX」の新製品としてハイエンドモデル「VMAX 40K」を発売すると発表した。

 製品戦略に関しては、5月21~24日に米ラスベガスで開催した年次カンファレンス「EMC World」での発表を受け、それらの製品群の日本市場への展開について、同社社長の山野修氏が説明した。

 山野氏は、同カンファレンスで発表された42の新製品と技術の中から日本市場における展開について触れ、「約1万3000人が参加。日本からも100人以上が参加した。ここでは、当社が取り組むほぼすべての領域において新製品が発表され、過去最大規模の製品群の発表となった」と語る。

写真1 EMCジャパン代表取締役社長の山野修氏

 「世の中では、プライベートクラウドとパブリッククラウドはどちらが勝つのかという議論があるが、それぞれのいいところ取りで両立させていく企業が多い。つまり、それらを組み合わせたハイブリッドクラウドが普及する。EMCは、パブリッククラウド事業者向けのハイエンドストレージ製品の提供とともに、プライベートクラウド向けに仮想化に適した“VMAX 10K”などを展開し、2つの領域を網羅することになる」(山野氏)

 山野氏は続けて、データが持つ重要性を説明する。

 「これまでのように、アプリリケーションを中心にITが回るのではなく、データを中心にITがまわるような世界が訪れている。EMCではデータを中心にして事業を展開していく方針を掲げてきたが、これが現実的なものになる。これからはデータが重力の中心となり、データの質量や依存性が、アプリケーションのそれを上回ることになる」(山野氏)

 新製品の中で、6月8日から発売する製品として正式発表したのが、エンタープライズストレージファミリであるSymmetrix VMAXのハイエンドとなるのVMAX 40Kだ。さらに、旧VMAXe、VMAXとしていた製品を、それぞれ仮想化用途向けの「Symmetrix VMAX 10K」、基幹系アプリケーション向けの「Symmetrix VMAX 20K」としてラインアップを刷新した。

  • 新しいVMAXは10K、20K、40Kで構成される

  • 10K、20K、40Kは用途が異なる

  • VMAX3製品の仕様

 VMAXファミリは、Virtual Matrix Architectureを実装。最上位となるVMAX 40Kは、競合製品に比べて最大3倍のパフォーマンス、2倍以上の利用容量を提供するという。

 「グローバルメモリを最大256Gバイトと2倍にすることで、高いキャッシュヒット率を実現し、パフォーマンスが向上している。帯域幅も2倍とすることで、システム全体の処理能力を向上するとともに、I/OPS(1秒あたりの入出力)処理能力を強化。さらに、4Pバイトの大容量や、高密度ベイによる搭載ドライブの拡張などにより、2倍の拡張性を実現している」(EMCジャパン グローバル・サービス統括本部テクニカル・コンサルティング本部プロダクト・ソリューション統括部統括部長の永長純氏)

 VMAX 40Kは、6コアの2.8GHz Xeonプロセッサ4個を搭載、24個のコアでの動作を実現。高密度構成が可能になり、ドライブ数を33%増やしながら、設置面積を33%減、総重量35%減、消費電力は27%削減できるという。「設置スペースを削減できることは、床強度の問題への対応や、フロアを跨いだ設置に対応するといった、さまざまな障壁を回避できるというメリットもある」(永長氏)

 2.2型のSASドライブとMLC(eMLC)フラッシュドライブを使用した構成も可能であり、「eMLC Flashは、SLC Flashに比べて約20%低価格でありながらも、パフォーマンス、耐久性、信頼性において、同等であると判断している」(永長氏)という。

 VMAXファミリ向けのOSである「Enginuity」も大幅に機能強化。特に「Federated Tierd Storage(FTS)」機能で、管理と運用を簡素化している。VMAX管理下で、他社製ストレージを含む異機種混在ストレージを統合する。外部アレイに対するデータ保全性も保証する。

写真5 EMCジャパン グローバル・サービス統括本部テクニカル・コンサルティング本部プロダクト・ソリューション統括部統括部長の永長純氏

 IBMのメインフレーム「System z」とオフコンのiシリーズ向けのシンプロビジョニングと「FAST VP(Fully Automated Storage Tiering for Virtual Pools)」に対応。富士通のメインフレーム向けエンハンス機能も提供する。SRDFリモートレプリケーション機能に関しては、これまでVMAX 20K同士に限定されていたものを、VMAXファミリ全体に拡張した。「日本のメインフレーム環境にも対応するとともに、あらゆる規模の企業がIT環境を変革し、ハイブリッドクラウドから最大の価値を引き出すための確固たる基盤になる」(永長氏)と説明する。

 山野氏は「日本において、これだけの大容量のものが必要なのかという声もあるが、すでに最大手の通信事業者、プロバイダーから関心が寄せられており、大容量ストレージのニーズは日本でも高まっている」などと今回の製品がニーズに応えたものであることを強調している。価格は個別見積もりとなっている。

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