比嘉康雄氏といえば、Javaのための「依存性の注入(Dependency Injection:DI)」と「アスペクト指向プログラミング(Aspect Oriented Programming:AOP)」をサポートした、フレームワーク「Seasar2」のチーフコミッターであり、日本のオープンソースソフトウェア(OSS)の世界でも有名人と言えるだろう。そうした比嘉氏がOSSに出会ったのは、「社内での評価に対する不満」がきっかけだという。
電通国際情報サービス(ISID)に勤務している比嘉氏は先頃開催された情報処理推進機構(IPA)のイベント「IPAフォーラム2007」の中で、「開発を夢のある仕事にするには」と題する講演を行った。同氏は、2006年度の日本OSS貢献者賞を受賞している。
「技術者が陥りやすい罠は、いい仕事さえしていれば評価してもらえると考えていること」と警告する比嘉氏
講演の中で比嘉氏は「技術者は、いい仕事さえしていれば会社は認めてくれるだろうと思いがちだ。しかし、これは技術者が陥りやすい罠」と、会社という組織の中で技術者は評価しづらい存在であることを説明している。
「5年目、10年目に上の役職に就くことができなかった。これは技術者の仕事が管理職にとって評価しづらいからだと思って、周囲に“こういう仕事をしています”と自分がしていることを正しく伝えるように努力した」(比嘉氏)
昇進できなかった比嘉氏は、「人前で自分の名前を言うことができなくなる」など、他人とのコミュニケーションができなくなっていたという。その後、比嘉氏は大阪で大きな開発案件を任され、「朝から夜の12時まで一所懸命働いて、デスマーチのプロジェクトを復活させた」ほどの仕事ぶりを見せた。
しかし、そうした仕事にもかかわらず、比嘉氏への評価は「一番上から一つ下の評価」だったという。そうした経験から比嘉氏は改めて、こう思った。「管理職は組織を管理するのが仕事であって、エンジニアの技術の善し悪しはわからないし、エンジニア個人の生産性が高い低いは関係ない。会社という組織はエンジニアという個人を評価しにくい組織だと感じた」
こうした思いを抱えていた同氏は「社内に閉じこもったままでは厳しい」として、社外のコミュニティーと接触するようになっている。そんな同氏が接触したのが、パソコン通信「ニフティ」だ。
ニフティ内のオラクルデータベースを話題にしたフォーラムで、比嘉氏は情報を書き込むとともに、オフ会にも積極的に出席するようになっている。
「以前では、人前で自分の名前を言えなくなるほどコミュニケーションするのが苦手だったが、そうした環境の中では周囲と自然とコミュニケートできるようになり、苦しいと感じることはなくなっていた」という同氏は、そうした場で「自分を認めてもらえたと感じることができ、自分に存在価値があると感じられるようになった」と、ニフティのフォーラムとの出会いが自己を変えるきっかけになったことを語った。
関連情報
-
Seasarプロジェクト、Chura用Eclipseプラグイン「Dolteng 0.23.0」リリース
Seasarプロジェクトは10月22日、Chura用Eclipseプラグイン「Dolteng 0.23.0」をリリースした。 - S2Container.NET 1.3.2・S2Dao.NET 1.3.2リリース
- Seasarプロジェクト、JSF実装「Teeda 1.0.11-SP1」をリリース
- Seasarプロジェクト、S2Remotingファミリーの新版をリリース
- SeasarのJSF実装「Teeda 1.0.11-RC2」リリース
- 日本のOSS普及・促進の大きな課題--開発者をいかに育成するべきか
- ISID、Seasar2向けサポートサービスの対象モジュールを拡大、旧版も対象に
- 2006年度の「日本OSS貢献者賞」の受賞者が発表--Seasar比嘉康雄氏も選ばれる
- “狛犬”が導くOSSのこれから--Developers Summit 2006
- 電通国際情報サービス
「経営が知るべきバズワード」 の新着情報
-
2013年までに企業PCの約4割が仮想化される:IDC予想
2013年までに法人向けクライアントPCの約4割が仮想化されたものになる――。IDC Japanはこう予測している。 - 「ビジネスチャンスではなく義務」--IFRS対応支援を拡充するディーバの取り組み
- ウイングアークと日本オラクルが協業--中堅向けERPと帳票基盤で連携
- ディーバ、DWHおよびBI製品提供--企業グループでのリアルタイム情報分析に焦点
- 「顧客が求めるのはネットワークだけではない」--シスコ、コラボレーションツール市場に本腰
- 経営が知るべきバズワード 一覧へ »
「システム開発」 のバックナンバー
-
トランスコスモス、マイクロラボのExcelによるDB連携ウェブアプリ開発ツールを販売開始
トランスコスモスは、マイクロラボと販売代理店契約を締結し、マイクロラボ製品であるExcelを使ったウェブデータベースアプリケーション開発ツール「X・Cute(エックス・キュート)」の販売を開始したと発表した。あわせて、オンサイトや受託による開発サービスも開始する。 -
インテル、高性能コンピューティングの研究でフランスの機関と協力
-
マイクロソフト、「.NET Micro Framework」をオープンソース化
-
ARM、Android搭載機器の開発を促進するアライアンスを設立
-
BSP、帳票システム構築ミドルウェア最新版--データ連携の効率化図る
- システム開発 一覧へ »
-
日本モバイルインターネット端末市場分析 〜2008〜2012年のMID及びスマートフォン...
- 【導入事例集】多業種から評価されているWeb会議システム、24社の導入事例をご紹介
- BIベンダーの選び方 −BIベンダー選定のための評価フレームワーク
- POSデータを活用し、売上アップを導く「分析力」とは?
- 【日産自動車:BI導入事例】連結対象の36社からの情報を元に車種別損益管理を実現
- CRMの限界を超える!「顧客経験価値マネジメント」実現の5段階
- iPhoneをビジネスで活用する時代へ〜ビジネス&モバイルのミライ〜
- ストレージ問題の課題に対する解決方法
- 企業コスト削減の傾向と対策 〜最新アプローチのトレンド〜
- 中堅企業におけるテクノロジーと成長
企画特集
-
電力に"ふた"をする独自の省エネ機能とは!?
動的に電力割り当ても可能なHPの最新鋭ブレードに迫る -
【最終警告】パンデミック対策特集
サービス品質を保証するためのリスクマネジメントとは -
100万円で実現!中小企業の情報漏えい対策
中小企業の課題!?セキュリティ管理者不在でも大丈夫 -
企業ITシステムの企画、構築、運用のイロハ
戦略的なITシステムのために、今考えるべきポイント -
―エン・ジャパン厳選求人☆毎週更新―
ハンゲームの社長が語る・人材とサービスの在り方 -
マネジメントの「コラム」と「コネタ」
今日のキーパーソンは誰? -
高まるiSCSIストレージへの注目度
ストレージシステムの4つの課題とiSCSI導入のメリット -
大丈夫?あなたの会社のセキュリティ対策
中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティを考える -
グリー、3人のエンジニアが語る仕事への想い
連載第2話、元SIerに聞くリニューアルと開発の舞台裏 -
急増するオンライン犯罪への解決策!
オンラインサービス保護ソリューション -
容量制限によるメール消去は一切無し!
全てを保存するメールセキュリティSaaSが登場 -
J-SOX法制定により内部統制の整備が急務に
重要性高まるActive Directoryの課題と対処法を公開中
ZDNet Japan イベント
- 開催日:2009年11月26日(木)
- イベント一覧へ»
-
1.並列性のための包括的ソリューション
Intel Parallel Studioが、いかにVisual Studioを拡張し、並列プログラ... -
2.Advisor概要
Intel Parallel Advisorについての2分間の概要紹介で、プログラマが自分...
新着企業動向
-
kotobank、収録する辞書情報の一部提供を開始
第一弾 「@nifty辞書」に39辞書・37万語の情...
ECナビ -
【冬季特別開催セミナ】 DOA40年総括とデータマネジメントの未来
データ総研 -
事例のご紹介 Vol.14 | 情報インフラの全体最適化
EMCジャパン -
メールセキュリティSaaS『Mail Luck!セキュアタイプゲートウェイ』
NTTPCコミュニケーションズ(ネットワーク事業部) - 企業動向一覧へ»
