IBMは7月28日(米国時間)、統計解析パッケージのSPSSとの間で買収の合意に達したことを発表した。1株あたり50ドルの現金による買収で、総額は約12億ドル規模に上る。2009年後半に買収を完了する見込み。
IBMはSPSSの獲得によって、ITシステム基盤の戦略「Information on Demand」と「Information Agenda」を推進し、関連製品を強化したい考え。今回の買収では、同社が先頃発表した新サービスと組織「Business Analytics and Optimization」(BAO)なども強化される見込みだ。
BAOは、IBMが持つ数理分析や情報管理分野における知識や技術を活用して、企業の意思決定のスピードと質を高め、成果を把握して向上させることを支援するサービス。7月1日に発足した新組織には250名を越える専任コンサルタントが所属している。国内では、東京基礎研究所の数理科学分野の研究員や、大和ソフトウェア開発研究所の技術コンサルタントとソフトウェア技術者などが、BAOのサービスやシステム構築にあたっている。
SPSSは、データ分析、データマイニング、統計解析のパッケージベンダー。教育および研究機関向けのソフトウェアとして国内でも著名だが、流通、小売などのほか、近年は医療分野にも注力していた。
IBMは企業の将来予測のためにSPSSのデータキャプチャ、データマイニング、統計分析を活用する。これにより、企業のコストやリスクを低減し、収益性の改善に寄与したい考えだ。