日本IBMは2月1日、最新の「IBM POWER5+」プロセッサを搭載したビジネスサーバ「IBM System i5」を発表した。これは、従来の「eServer iSeries」の後継品となる。出荷開始は2月14日から。
IBMでは、2005年7月にシステム製品の今後5年を見据えた中期戦略として、「IBM Systems Agenda」を発表している。これは、サーバやストレージなど個別の製品をそれぞれ推進するのではなく、すべてのハードウェアをひとつのIT基盤としてとらえる戦略だ。この戦略の下、同社ではIBM eServerシリーズのネーミングを後継製品より順次IBM Systemに変更しており、今回のSystem i5もSystems Agenda戦略に基づいている。2006年前半には、現在もeServerの名称が残っているxSeriesもIBM Systemとなる予定だ。
Systems Agendaでは、仮想化やオープン性をキーワードとして、運用管理の最適化や柔軟性の向上を実現するとしているが、今回のSystems i5では、同社の独自OS「i5/OS」の最新版となる「i5/OS V5R4」がSQL標準規格のSQL2003に対応したほか、64ビット版のみの対応だったJVM(Java仮想マシン)に加えて、32ビット版JVMも実装するなどしてオープン化を進めた。
また、オープン環境におけるコラボレーションを促進するため、ソリューションプロバイダやISVなどを会員とする「System i5ソリューション研究会」を2月1日付けで発足させた。それぞれの会員企業が提供する業務アプリケーションおよびソリューションの連携や、新規案件の発掘、ソリューションの認知向上支援などを目的としており、発足時の会員企業はNTTデータ イントラマートやワークスプロダクツ、システム・テクノロジー・アイなどを含め、7社が名を連ねている。
System i5は、主に中小規模企業をターゲットとしており、エントリーモデルの価格が389万2100円(税別)からと、従来製品より安価に設定した。また性能は、従来のPOWER5プロセッサより約1.2倍の処理能力を持つPOWER5+を搭載したことにより、「価格性能比が従来より最大約3.4倍になった」と日本IBM iSeries事業部長の野々下信也氏は説明する。
- 日本IBM 執行役員 システム製品事業担当の渡辺朱美氏
IBMでは、システム製品事業の2006年の目標を「市場の伸びを上回る成長を達成すること」としているが、その一環として「他社機からの置き換えを促進し、ビジネスの拡大を目指す」と日本IBM 執行役員 システム製品事業担当の渡辺朱美氏は述べている。そのため、置き換えのスペシャリストとなる営業担当者を20名強まで増員した。「スペシャリストは、他社製品についても詳しい。他社製品を理解した上で、IBMの良さを伝えるようにしたい」と渡辺氏はスペシャリストの重要性を強調した。