日本SGIは2月21日、GPU(Graphics Processing Unit)コンピューティング技術を採用したスケーラブルビジュアルクラスタ「Asterism(アステリズム)」新モデルの販売を開始した。同製品には、NVIDIAの「NVIDIA Tesla」が搭載されている。
Asterismは、CPUにAMDのマルチコアプロセッサを、GPUにNVIDIA Ultra High Performance Graphicsシリーズを採用し、オペレーティングシステム(OS)には、Microsoftの「Microsoft Windows XP Professional」、またはLinuxを搭載可能なスケーラブルビジュアルクラスタ。NVIDIAの最新のグラフィックスシステム「NVIDIA Quadro Plex」にも対応する。
新モデルでは、1GPUあたり128個のスレッドプロセッサを搭載し、最大518GFLOPSの並列演算性能を実現。NVIDIAが提供するGPU向けの統合開発環境「CUDA」を利用することで、C言語をベースに並列処理向けプログラミングを短期間で実現できる。
また、シングルノードからマルチチャネルのグラフィックスクラスタ構成まで、柔軟な拡張が可能なほか、冗長化された電源機構など、省スペースで高い性能を提供する。価格は、最小構成で110万円より。出荷の開始は、2008年3月を予定している。
GPUコンピューティングは、これまで画像処理に利用されていたGPUを、画像処理以外の汎用的な処理に応用する試み。たとえば、1CPUあたり32GFLOPSの理論性能値をもつ2.0GHzクアッドコアCPUに対し、1GPUあたり518GFLOPSの理論性能値を実現できる。
同技術は、数値計算におけるFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)、線形代数、モンテカルロ法、並列検索エンジンなどを使用する製造分野、科学技術分野、医療分野、通信/放送分野、金融分野などへの適用が期待されている。
Asterism新モデルの提供にあたり日本SGIでは、GPUコンピューティングの普及促進を目的とした研究会「日本SGI HPC Open Forum」に「GPU Computing分科会」を設立。コンサルティングやインテグレーションなどのサービスを合わせて、ユーザーに効果的なGPUコンピューティングを提供するための支援を提供する。
GPU Computing分科会は、ハードウェアメーカー、ソフトウェアメーカーなどが協力することで、「GPUコンピューティング環境を提供するメーカーによる情報提供」「GPUコンピューティング環境構築の支援」「GPUコンピューティングにおけるユーザーの課題、解決策、成果の共有」など、GPUユーザー相互間の情報/意見交換、技術交流の場を提供する。
同分科会は、幹事企業として、NVIDIA Japan、エルザ ジャパン、プロメテック・ソフトウェアが参加。分科会長は、慶應義塾大学教授 工学博士の中村維男氏が務める。