シトリックス・システムズ・ジャパンは9月4日、米Citrix Systemsの社長 兼 CEOを務めるMark Templeton氏の来日に伴い、報道機関向けの説明会を開催した。その中でTempleton氏は、シンプルなシステムの重要性を強調した。
現在のエンタープライズITシステムにおける問題についてTempleton氏は、「システムが複雑すぎること」を挙げる。「25年前、分散コンピューティング環境が生まれ、そのころから多くの部品が複雑に組み合わさってシステムが作られるようになった。25年間に渡って積み上げてきたさまざまなテクノロジのレイヤがシステムを複雑にしてしまったのだ。今、自社のシステムを絵に描ける人は誰もおらず、ビジネスの変革の速さに対応できない柔軟性に欠くシステムが存在している」とTempleton氏は指摘する。
では、複雑さを解決するにはどうすれば良いのか。Templeton氏は、「単に現在のインフラに新しい技術を組み入れればいいというわけではない。解決法のひとつは、部品を削減することだ」と話す。同氏は、学生時代の研究プロジェクトでGeneral Motors(GM)のアナリストとして務めた経験があり、その際に自動車業界で学んだことを「複雑さの計算式」と呼んで、次のように説明した。
「トヨタ自動車や本田技研工業といった日本の自動車メーカーが米国にやってきて、米国自動車メーカーのシェアを大きく奪いつつあった頃、GMはBuickを生産するにあたって約10万個の部品を使用していた。それぞれの部品の信頼性が99.9%だとすると、できあがった車の信頼性は80%程度になる。一方、トヨタや本田は約5万個の部品で車を生産していた。それぞれの部品の信頼性が同じく99.9%の場合、できあがった車の信頼性は90%だ。つまり、部品が少なければ信頼性が上がる。信頼性が上がれば顧客満足度も向上する。また、部品が少ないことで、製造のコストを削減することもできるほか、各部品の保証コストも下がるのだ」(Templeton氏)
Templeton氏は、「エンタープライズITも、この例から学ぶべきだ」と語る。部品の点数を削減することが、システムのシンプル化につながる。Templeton氏は、Citrixの提供する仮想化ソリューションこそが、部品削減につながるソリューションだとした。