IDC Japanは10月18日、国内ファイルストレージの需要動向を発表した。国内ディスクストレージシステム出荷容量に占めるファイルベースの容量構成比は、2005年の34.2%から2009年には42.1%となり、2014年には73.4%まで上昇するとIDCでは予測している。
2009年の国内ディスクストレージシステム(外付型と内蔵型の合計)の出荷容量は、前年比5.4%増の599.9ペタバイトとなった。そのうち、ファイルベースの出荷容量は前年比12.9%増の252.5ペタバイト、ブロックベースの出荷容量は同0.5%増の347.4ペタバイトだった。なお、ファイルベース容量には、画像やオフィス文書などファイル単位でアクセスされるデータを対象とするストレージ容量が含まれ、ブロックベース容量には、データベースなどブロック単位でアクセスされるデータを対象とするストレージ容量が含まれている。
同年の国内ディスクストレージシステム売上額は、国内企業の投資抑制の影響で前年比25.4%のマイナス成長だったが、出荷容量は主にファイルベース容量の伸びによりプラス成長となった。IT投資の落ち込みが回復する2010年以降も、ファイルベース容量はブロックベース容量を上回る成長率で増加し、2011年にはブロックベース容量を上回るとIDCは予測している。
IDCでは、2009年〜2014年における国内ディスクストレージシステム出荷容量の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を45.7%と予測しているが、同期間のファイルベース容量のCAGRを62.8%、ブロックベース容量のCAGRを24.7%と予測しており、ディスクストレージシステム出荷容量の伸びをけん引するのはファイルベース容量であると見ている。2005年〜2009年のファイルベース容量の伸びを支えてきたのは、テキスト、イメージ、オーディオ、ビデオなど、生成されるファイルデータの多様化とデータ個数の増大だったが、2010年以降はそれらに加え、ファイルサイズの大型化もファイルベース容量に対する需要を拡大させると予測している。
国内企業が保有するファイルデータの増加とともに、管理方法の課題も多様化かつ複雑化している。IDCが国内企業を対象に行ったアンケート調査によると、ファイルデータの管理課題では「データ量増大への対応」「バックアップの効率化」「分散化しているデータの一元管理」が上位を占めており、今後はファイルデータ管理においても、ファイルの仮想化、重複排除、データの自動仕分け、階層型管理、データ保護、アーカイブなど、大容量を効率的に管理する技術に対する需要が高まるとIDCでは見ている。
IDC Japan ストレージシステムズマーケットアナリストの高松亜由智氏は「ストレージベンダーは、製品やソリューションをそれぞれ単独に販売するだけではなく、ファイルストレージ管理に関する全体的なフレームワークを構築して、ユーザー企業やチャネルパートナーに提示していくことが必要になる」と述べている。